にぎりずしのタネ(ネタ)ってどれくらいあるの?定番のすしダネ全28種類を一覧にして紹介

みんなが大好きなにぎりずし!上にのせるタネ(ネタ)は赤身や白身、光りもの、貝類など種類は実に豊富。ところで、にぎりずしとされているものはどれくらい種類があるのでしょうか?

ここではすしに関する本を多く出版してきたすしマニア編集部が定番のすしダネをそれぞれしていきます。すしに詳しくなりたい人におすすめ!

赤身のすし

マグロ

画像素材:写真AC

すしの代表格といえば、マグロですね。今でこそ人気のもののマグロですが、意外にも大正時代までは上ダネではなく、人気が出たのはここ100年くらい。

赤身はマグロの背肉に多く、一般的に赤身の多い魚は運動量が多いとされています。中トロは身肉の腹側の部分で、脂肪分があっておいしい部位。マグロはメバチ、キハダ、ビンナガ、ホンマグロ(クロマグロ)などの種類がありますが、ホンマグロの中トロが絶品です。腹側の肉のうち最も脂ののった部分が大トロで最高級の旨味が味わえる部位。

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カツオ

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マグロと同様の高速回遊魚であるカツオ。早春に黒潮に乗って土佐沖から北上し、秋に三陸沖で反転して南下します。初夏のカツオは脂ののりがまだ薄く、脂ののる秋に南下するカツオを「戻りガツオ」といい、こちらのほうが食べごたえは抜群。カツオは鮮度が落ちやすく、色も変わるので、素早く調理しなくてはならない魚です。そのため、すし屋では「いそがしい魚」と表現されることも。

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サーモン

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伝統的なすしダネではないですが、もはや定番というべきなのがサーモン。戦後の食の欧米化の流れで取り入れられたすしダネで、脂がのっていてクセもないことから子供に人気のあるすしダネになりました。すしで使用されるのはタイセイヨウサケ(アトランティックサーモン)でほとんどが輸入品。最近の回転ずしでは、「炙りサーモン」といった表面を少し炙ったメニューが人気を博しています。

白身のすし その1

タイ

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白身のにぎりダネの代表格。実は日本ではタイという名前の魚は意外と多いのですが、マダイ以外はマダイとは無縁の「あやかりタイ」です。よって、味のよさはマダイが最高。最近は養殖ものが増えて天然ものの減少を補っていますが、味はやはり天然ものが一番。日本海と瀬戸内海産が昔から評判です。特に産卵前の冬から春へかけてが一番美味しい時期。

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ヒラメ

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白身の代表的なにぎりダネで上品な旨味たっぷり。旬は冬から春とされています。うす造りの刺身が美味ではありますが、にぎりダネとしても高級品。とりわけヒラメのエンガワは絶品と知られています。もともと「ヒラメ」という名は江戸方言といわれていますが、全国でも通じるようになりました。両眼が体の左側にあるという個性的な見た目が特徴。

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ブリ(ハマチ)

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ブリは出世魚で、成長につれてワカナゴ(ワカシ)→イナダ→ワラサ→ブリと呼ばれます。ただこれは関東の場合で、関西では20〜40センチほどの大きさのブリを「ハマチ」と呼びます。体長80センチ以上に達するとブリと呼ばれるようになるのが一般的。旬は冬。すし店では白身のタネとされていますが、本当は赤身の魚です。ハマチはブリとは違って、あっさりとした味わいですが、旨味もたっぷりというのが特徴。

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白身のすし その2

スズキ

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スズキはいわゆる出世魚で、セイゴ→フッコ→スズキと成長につれて名が変わるのが特徴です。本来は沿岸魚ではありますが、淡水と海水の間を行き来する魚として有名。調理法もいろいろありますが、洗いが最高とされています。その肉質は蛋白ではありますが旨味がたっぷり。夏の代表的なタネで高級品です。

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カンパチ

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アジ科に分類される魚でカンパチは東京を中心にした呼び名。地方によって呼び名が異なる魚で、出生魚でもあります。成魚となったものがカンパチと呼ばれることが多いですね。カンパチの身は締まっていて、脂もたっぷりとのっているので食べごたえ抜群。旬は産卵期と同じ6〜8月。

光りもの その1

コハダ

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コハダという名は江戸方言で、正式名称はコノシロ。出世魚で、シンコ→コハダ→ナカズミ→コノシロと大きくなるにつれ、名前が変わる魚です。その中でもコハダが最も美味しいとされていて、秋から冬へかけてが旬。ていねいに酢でしめたコハダは皮もやわらかく、食感も抜群で、昔から光ものの代表格です。すし店の腕はこの味でわかるとさえいわれるほど。

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アジ

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年中出回っている大衆魚ではありますが、旬は夏。夏場の光ものの代表的なタネです。アジは種類が多いのですが、すし屋でアジといえばマアジのこと。マアジのすしは脂っぽさもなく、さっぱりとした味わい。

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サバ

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サバのすしはにぎりダネとしては光ものに入ります。日本近海にはホンサバとゴマサバの2種類があり、ともに旬は秋で脂がのって美味とされています。サバのすしといえば、バリエーションが多いことで有名。関西発祥のサバずしやバッテラが代表的で、腐敗の早いサバの調理法の知恵と工夫が生んだ食べ方です。

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光りもの その2

サヨリ

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トビウオやサンマの仲間。スマートな魚体で下あごが長く突き出し、先端に淡い赤味がさしているのが特徴です。美しい魚体にふさわしく、淡泊で上品な持ち味が楽しめます。味が良いのは早春。にぎりダネとしては、キスとともに光ものの中では逸品です。

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イワシ

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昔から大衆魚の代表格で、あの紫式部がイワシを好物としていて人にからかわれたというほど。にぎりずしのタネとしては上ダネではありませんが脂がのっており、通には好まれる傾向に。旬は盛夏から初冬にかけての脂が多くのった頃。

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エビのすし

クルマエビ

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すしダネに用いるエビとしてはクルマエビが色、味ともに理想的。実はにぎりずしに用いるのは10センチくらいの大きさのマキエビで、一般的にそれ以上の大きさのものがクルマエビといわれています。

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甘エビ

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甘エビに使用するエビは「北国赤エビ」と呼ばれる寒海深海性のエビではあるのですが、甘エビの名で全国に知られています。日本海側、とくに北陸地方の特産で、冬の味覚であったのですが、流通技術の発達で、たちまち全国的なすしダネとして喜ばれるようになりました。マキエビと比べると食感は柔らかくて、とろりとした甘みは絶品。

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煮もの

アナゴ

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すしにはマアナゴという種類のアナゴが使われることが多いです。アナゴは関西ずしにも欠かせませんが、にぎりとしても古くから使用されるタネ。にぎりダネとしては煮ものダネの代表格。煮返しを重ねてコクのある煮汁を煮つめたツメ(タレ)をぬって、旨味を倍増させます。漁期は夏で、この時期は盛んに出回ります。

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シャコ

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形はムカデのようで不気味ではありますが、すしダネとして昔から使われてきた歴史があります。産卵期は5~7月。メスの身の中にある固くて赤い棒のようなのが卵巣で、カツブシといわれますが、これを持った子持ちシャコは絶品。シャコは煮物のタネとして有名で、ワサビを用いず、煮ツメにしたすしが一般的です。

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イカ・タコのすし

イカ

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世界には450種ものイカがいますが、すしダネにするのはコウイカ、スルメイカ、ヤリイカ、モンゴウイカ(マイカ)など。その中でもすし店でいちばん多く使用されるのはモンゴウイカ。一般的に「イカ」のすしといえばこれを指し、冷凍ものが使用できるので、年間通じて値段も安定するというのがメリット。身が厚いのが特徴ですが、もっちりとした柔らかさがあり、食感と旨味が抜群。スルメイカはさらに旨味があり、モンゴウイカとまた違った味わいが楽しめます。

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タコ

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タコはボイルしたマダコがベストとされ、日本近海ものに加えてアフリカ沿岸のものも輸入されています。新鮮なタコを上手に茹でると、柔らかく、ほのかな甘みと香りがあり、上品な美味しさになるのですが、茹で方に工夫が必要。

貝類のすし その1

赤貝

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身が赤いため、赤貝と名付けられました。名産地は、東京湾、伊勢湾、瀬戸内海、有明海など。旬は冬から春。にぎりダネにするのは、こりこりとした身の部分ではありますが、実は足と外套膜、柱の部分、つまりヒモがうまいのです。むきたての赤貝のヒモを手早く握ったすしは絶品。カウンター向きですし通がとくに好むすしダネです。

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アワビ

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殻が一枚しかないから、磯のアワビの片思い。アワビは二枚貝と違って巻貝の一種なんです。日本では大昔から好んで食べられており、古い形の「すし」にもなっています。晩春から初夏にかけてが旬。コリコリした身のうまさはにぎりにも、ぴったりの上ダネ。

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ホタテ

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二枚の貝殻を強く開閉して海底を素早く移動するホタテ。その原動力は太くて強じんな貝柱です。すしダネにはこの貝柱を使います。生の貝柱には甘みと独特な旨さがありますが、これはイノシン酸、グルタミン酸などのうま味成分をたっぷりと含むから。ホタテは北海に棲む貝で、青森あたりの養殖は有名。漁期は夏から秋にかけて。

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貝類のすし その2

ミル貝

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ミルクイが正式名称。貝のうしろはぴったり閉じないで、太い水管が出ています。すしダネにするのはこの水管の部分。殻長15cmほどのかなり大きな貝です。新鮮なミル貝の水管は甘みがあり、歯ざわりがしゃきっとして美味。さっと湯に通すと美しい淡いピンク色が出て、見ばえもします。

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トリ貝

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赤貝によく似た貝で、すしダネとしてお馴染みのもの。すしでは足部筋肉だけが使われます。その名の由来は、黒紫色のこの部分が三角形でトリの姿を思わせるから。また味がトリ肉に似ているからともいわれます。

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魚卵など

イクラ

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実はイクラという言葉はロシア語が由来。チョウザメからキャビアを作るのにヒントを得て作られたものでした。イクラはサケ・マスの卵の塩蔵品で、未熟卵を卵巣ごと塩蔵したものがスジコになり、一粒一粒がバラバラになった成熟卵の塩蔵品がイクラ。軍艦巻の手法が生まれて、すしダネとなったのは比較的最近のこと。卵は食塩水に浸すので塩分が効いていて、プチプチした食感がまた絶品。

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ウニ

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イクラとともに軍艦巻の手法が生まれてからすしダネとなったのがウニ。日本全国の沿岸で生息していますが、すしダネとして有名なのがムラサキウニとバフンウニの2つです。ムラサキウニはタンパクで上品な味わいで、バフンウニは濃厚で強い甘みが特徴的。すし店で使用するのは主に生ウニです。新鮮な生ウニのとろけるような味と磯の香が絶品。

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数の子

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もっぱら海外から輸入品が多いのですが、すしダネに使われるようになったのは戦後で最近のこと。歯ざわりが命のタネで、この差は品質で決まってきます。にぎりずしに使うのは、生のまま塩蔵貯蔵された塩数の子を使うのが一般的。水気をとってワサビを用いて握ります。すし飯に馴染むように軍艦巻きにすることも。

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その他のすし

玉子焼

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色どり上も味のバランスからも、にぎりずしのコースには必須のもの。昔はすし屋がそれぞれ独自の玉子を焼いていて、最初にこれを食べれば腕が分かるといわれたほど。昔はすり身を使う玉子焼きが一般的でしたが、現在のすし店で見られる玉子のすしのほとんどはだし巻き玉子が使用されています。

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すしダネはこれだけある!

人気のある定番のすしダネを紹介しましたが、これ以外にも年々新しい「定番」が生まれるのが現在のすし。しかし、古くから食べられてきたすしダネは今でも人気で、新しい提供スタイルで人気が出ることも。伝統と革新が混在するのが現在の日本のすし事情なのです。

※画像はイメージです
※MOOK「料理と食シリーズNo. 2 すし」に掲載した内容を再編集しています