焼肉のおいしい焼き方とは?焼き加減などのコツなどを焼肉マニアが解説

質の良い肉を使って焼肉店のタレを買って家で焼いてみても、店ほどの焼肉を食べることができないことがほとんど。その原因は何でしょうか?実は「焼き方」にあったのです。

ここでは焼肉に関する本を多く出版してきた焼肉マニア編集部が焼肉のおいしい焼き方について解説していきます。焼肉に詳しくなりたい人におすすめ!

強火の遠火が、おいしく焼くための基本

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まず、高温で焼くことが最も重要。魚を焼く時に使われる「強火の遠火」という言葉は焼肉にも当てはまるのです。 低温だと肉の表面がしっかり焼ける前に内部のうま味が外に流れ出してしまいます。これではおいしいはずがないですよね。

良い肉ほど焼き過ぎず、半生がおいしいとはいいますが、半生というのは肉の表面を高温でしっかりと焼くことで、おいしいエキスを肉の内部に閉じ込めた状態のことなのです。

近年、高温で焼くために、炭火を売り物にする焼肉店が増えています。炭はそのものが熱を持ち、ガスよりも高い300度ぐらいの温度で焼くことができるのです。

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ところで、家庭で焼肉を楽しむ場合、ホットプレートがありますが、これは焼肉店のプレートや直火のアミ焼きほど高温にはなりません。そこで、おいしく食べるには、しゃぶしゃぶ用の肉など、より薄い肉を使うのがおすすめ。焼肉のおいしさを堪能するためには、旨味を閉じ込め、かつ余分な脂を飛ばすという焼き方が理想的です。

焼肉店では、アミが主流になりつつあります。それもそのはず。焼肉を堪能するための焼き方にはアミ焼きがぴったりだからです。

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従来数多く使われていたプレートは、重く、持ち運びに苦労するものでした。また、丸型プレートの場合、中央の切込みのない部分に肉をのせると焦げやすいというデメリットも。そしてなんといってもプレートからアミへと移っていった最も大きな要因としては、使う肉質の変化の影響があります。

国産牛肉の特徴として、肉の中にきめのこまかい脂が入る「霜降り」という状態があります。焼肉店ではこうした肉を使うことが多くなり、輸入牛肉も、日本向けに育成された牛の肉は国産牛肉に近い肉質に。こうした肉は余分な脂を飛ばした方がおいしいのです。このため、直火が肉にあたり、脂を下に落しやすいアミの使用が多くなってきたというのが実情。

ベストな焼き加減は?肉の部位による焼き方の違いを知ろう

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焼肉店にはいろいろな部位が揃っています。大きく分けると精肉と内臓肉。その他に魚貝や野菜がメニューにのっている店も。また、最近はタレ焼きだけでなく、タンに代表されるように塩であっさりと焼いて食べるものが増加傾向に。そこで材料による焼き方の違いを知っておくと便利。

まず、国産牛肉と輸入牛肉による焼き方の違い。上で解説したように国産牛肉は全般的に脂肪交雑(サシ)が多め。しっかりと火を通し、余分な脂肪を飛ばして食べるとよいでしょう。

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一方、輸入牛肉は国産牛肉に近い品質のものが増えてきているとはいえ、まだ脂肪の量は少なめなので、火を通しすぎてしまうとパサパサした食感に。見た目で判断するのは難しいですが知っておいて損はないでしょう。

精肉と内臓肉の焼き方の違いは、精肉は表面に焼き目がつき、中心部分はまだ赤い、半生ぐらいの状態が食べ頃。内臓肉はじゅうぶん火を通し、丸くなったり、端の方がやや反った状態になった時が食べ頃です。

おいしく食べるためのコツ

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焼肉店に入ると、あれもこれもと一度にたくさん注文してしまうもの。その場合、どの部位から焼いて食べたらおいしく味わえるのでしょうか?

まず、塩焼きのものから。アミの表面を汚すことがないので、そのまま次の種類、タレづけの精肉を焼いていくことができます。味噌ダレで食べることが多い内臓肉は最後に焼きましょう。ある程度焼き続けたところでアミを交換してもらうのも、おいしく食べるコツ。

アミの上に肉をたくさんのせて焼くというのは、よく見かける光景ですが、これは上手な焼き方ではありません。一度にたくさんの肉をのせると、アミの表面温度が下がり、焦げつきやすくなるというデメリットがあります。

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食べ始めてみると空腹感も落ち着いてきて、食べるスピードがゆっくりになり、アミの上には、まだ肉が何枚か残っている。こんな状況になると、残された肉は火が通りすぎてしまっていて、おいしくないでしょう。自分が食べる分だけ焼くというのがおいしく食べる方法。肉を一枚のせ、その片面が焼けてひっくり返した時に新しい肉を一枚のせる。そのぐらいの焼き方がちょうどいいといえます。アミの上に肉をのせたままにしないことが大事。

たいていの焼肉店では火力を調節することができます。4人ぐらいで一緒に食べる時には、火力は強くても大丈夫ですが、2人で食べる場合は中ぐらいの火力にした方が食べるペースにあうでしょう。

炭の場合は火力が安定していないので、火の勢いを見極めて焼くことが必要に。火力の調節は難しいので、焦げないように肉をのせるタイミングに注意。なお、肉を焼く時はアミがじゅうぶんに熱くなってからのせること。そうすれば、肉がアミにくっつくことはないのです。

焼肉をおいしく食べるにはまず「焼き方」から

焼肉は肉の良し悪しで味が大きく左右されるのはもちろんではありますが、焼き方次第で、おいしくもまずくもなるのです。家庭でも良質の肉が手軽に食べられるようになりましたが、焼肉店で食べる肉は味わいが異なるもの。これらの焼き方をマスターして、よりおいしく焼肉を楽しみましょう。

※画像はイメージです
※MOOK「料理と食シリーズNo.17 焼肉料理」に掲載した内容を再編集しています