メキシコ料理の基礎!サルサ(ソース)の種類をフードマニア編集部が解説

サルサとはスペイン語で「ソース」を示すものはありますが、メキシコにおいてはタコスのベースの味であるように、料理の基本調味料となっています。実はこのサルサは、日本人が思っている以上に種類豊富で奥深いもの!

ここではフードマニア編集部がメキシコにおけるサルサの種類をたっぷりとご紹介してきます。

サルサ・メヒカーナ

日本でこく一般的に「サルサ」と呼ばれている、メキシコを代表するソース。屋台にもレストランにも、もちろん家庭の食卓にも常備されています。日本の調味料の中では、醤油の役割に近いもの。

メキシコでは生のチレ・セラーノ(唐辛子の一種)を使うのですが、日本では冑唐辛子を使うことが多い傾向に。チレ・セラーノは青唐辛子に比べると肉厚で水分が既富なのが特徴で、歯こたえやジューシーさを昧わう野菜として使います。

サルサ・ベルデ

サルサ・メヒカーナに次いで知名度の高いのが、サルサ・ベルデ。このサルサを抜きにして、メキシコ料理を語ることはできないというほどの存在。これもメキシコならではのソースで、グリーントマトを使用。

グリーントマトはほおずきによく似た皮付きの小さなトマトで、熟した状態で緑色をしています。メキシコでトマテ(トマト)というと、このグリーントマトを指すほどポピュラーな野菜。生のグリーントマトは日本ではなかなか手に入りませんが、水煮の缶詰が販売されています。

サルサ・デ・チレ・アパネロ

チレ・アバネロは、アチオテ(ベニノキの実のペースト)と並ぶ、ユカタン半島独特の調味料。チレ・アバネロはユカタンの特産品で激辛種の唐辛子で、実は熟すとゴールデンオレンジ色になるものが多い傾向に。一般の唐辛子の100倍もの辛さを持つともいわれ、辛いというよりは「痛い」感じに近く、世界一の辛さとされていたことも。

あまりにも辛いので、扱うときは極力素手では触らず、まな板も変えるようにするほど。ユカクンのレストランでは料理の薬味として卓上に囲かれていて、スープや一品料理に入れたりします。

サルサ・クルーダ

材料全てを焦げ色がつくまで焼いて作る、香ばしい風味が特徴で、メキシコを代表するサルサ。チレは、赤味が残っているくらいの黒さになるまで焼きます。そうすることでチレ・デ・アルボル(唐辛子)の特徴である辛みと香り、苦みが凝縮され、独特の風味があるサルサに。また、トマトも焼くことによって甘みと香りが強くなります。

サルサ・デ・モルカヘテ

チレ、トマトと塩のみで作るサルサ。生の材料で作るフレッシュなサルサの代表格です。材料のフレッシュなうま味を活かすため、ミキサーは使わず、モルカヘテ(石うす)とテホロテ(石のすりこぎ)を使って作ることから「石うすを使って作る」という意味。このサルサはメキシコではチレ・ハラペーニョかチレ・セラーノが使われることが多く、メキシコ人郷愁のサルサでもあります。

サルサ・テ・チレ・ウアヒージョ

上記のサルサ・クルーダやサルサ・デ・モルカヘテと同様に、材料に焦げ色がつくまで焼いて作るタイブのサルサ。にんにくを生で用いるところはサルサ・デ・モルカヘテと同じですが、チレの種を取り除く点が他の二つのサルサとは異なるポイント。

チレ・ウアヒージョは種の辛さが強く、実の持つ味わいが負けてしまうので、種は取り除いて使います。また、チレ・ウアヒージョには昆布の出汁に似たうま味があるので、焦がすことで香ばしさと苦みを加え、味に奥行きが出るというのが特徴。

サルサ・ランチェラ

たっぷりのトマトのうま味の中に、チレ・セラーノの辛みを軽く効かせた、優しい口当たりで日本人になじみやすい味わいのサルサ。日本では育唐辛子(グリーン・チリ)の酢泊けを代用することも。

ランチェラとは「農場の」という意味で、同時にメキシコ人にとっては近代化以前の古くからの生活を連想させ、郷愁を呼び、心に響く深い味わいのある特別な意味合いを持つ言葉です。定食屋やホテルの朝食の定番であるウェボス・ランチェロスや、鶏、肉、魚介の料理には欠かせない、基本の大切なサルサ。

サルサ・アドポ

サルサ・アドポは元来、肉を泊け込んだり、塗って焼いたりするもので、乾燥させた唐辛子を使って調理します。色々な組み合わせがありますが、主にチレ・アンチョ、チレ・パスィージャ、チレ・ウァヒージョなどの唐辛子が使われる傾向に。伝統的なメキシコの郷土料理として育まれてきたこのサルサの応用のされ方は、日本の味噌に近いもの。

ここで使うチレ・アンチョのまろやかな辛さと甘み、チレ・パスィージャの強い辛さと苦みのように、2種類のチレの持ち味が互いに引き立てあう中に、トトッポ(トルティージャを扇型に切って揚げたもの)やピーナッツの香ばしさが加わり、コクのある風味豊かなサルサに。

サルサ・ロハ

ロハとは「赤い」という意味。その名の通り、深い赤い色のこのサルサは、形や味がタカノツメに似ているチレ・アルボルで作る、キリッとした刺激的な辛さが特徴。チレ・デ・アルポルを水またはお湯に一晩浸け、その浸け汁も加えてサルサを作ります。

サルサ・ベラクルサーナ

ペラクルス市のご当地サルサ。サルサ・ベラクルサーナにはオリープの実とオリーブ油、白ワイン、ケッパーなど、スペインの香りがする材料が使われているのが特徴。鯛、スズキなどの白身魚や、エピによく合うほか、牛タンとの相性も抜群。

サルサ・マチョ

マチョは英語で言えばマッチョ、つまり「たくましい男性」のこと。このサルサの色は黒褐色で、セロリの香りが活きている個性的な風味。玉ねぎやトマトなどの材料に比ぺてチレ・バスィージャが多めに入るので、辛みと苦みが効いたバンチのある味に仕上がります。

水の代わりにピールやテキーラを使って作られるものもあり、それらはサルサ・ボラーチャ(酔っぱらいソース)と呼ばれます。

サルサ・モーレ

メキシコ料理といえば、この名前が出てくるほど有名なサルサ。このサルサは3種類ものチレに加え、ごま、アーモンド、レーズン、チョコレートなどのたくさんの材料が入って複雑にからみあい、甘み、苦み、辛み、コクが揃った味わい深いサルサ。

州、街や家族ごとに、それぞれのレシピがある<らい種類豊富なサルサ。プエプラと肩を並べるオアハカには、赤みがかったものや黒、黄色、緑色など、七色のモーレが存在します。ちなみにモーレとは、先住民の言葉(ナワトル語)の「モルリ」に由来し、ソースの意味。

サルサ・チポトレ

チレ・ハラペーニョを干して、燻製にしたものがチレ・チポトレ。それをホールトマトと一緒に煮て作るサルサ。燻製によって引き出された独特の風味は、トマトを加えることでさらに豊かな味わいに。これは日本料理のカツオ節と昆布のような関係です。

メキシコにはまだまだサルサがある!

エジプトにはこんなにサルサがあったのか!と驚くでしょうが、実は一口に「サルサ」といっても、メキシコでは何百というサルサがあるので、その味わいは千差万別。サルサを知ると、メキシコ料理の奥深さに触れることができるでしょう。

※「魅力のメキシコ料理」で掲載した内容を再編集しています。

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