カレーのスパイス(香辛料)の種類はどれくらいある?カレーマニアが33種類を一覧にして解説

一般的にカレー粉というと数種類のスパイス(香辛料)がブレンドされて作られているのですが、どんなスパイスが使われているのでしょうか?実はそれぞれに個性があり、香り付けや辛みなどを生み出しているのです。

ここではカレーに関する本を多く出版してきたカレーマニア編集部が日本で好まれるスパイスの種類を一覧について解説していきます。カレーに詳しくなりたい人におすすめ!

カレーに使われる主なスパイス その1

クミン

資料提供:エスビー食品株式会社

いわゆるカレーを想起させる香りと味わいを持つスパイスです。カレーにおいては、ホール(原料のままの状態)とパウダーのどちらでも使用しますが、ホールは香りを引き出すスタータースパイス(最初に使用して香り付けするスパイスのこと)として使われることが多いですね。パウダーの方は、ホールよりさらに強い香りを放ち、ガラムマサラやカレーパウダーなどのミックスパウダーに欠かせません。

記事の詳細はこちら↓

コリアンダー

資料提供:エスビー食品株式会社

エスニック料理ではおなじみの香菜(パクチー)の種を乾燥させたもの。独特な香りの葉とは違い、乾燥させた種は柑橘類のような爽やかな香りを持ち、インド料理に多用されるスパイスのひとつです。クミンと並んでカレーらしい風味をつけるために不可欠な重要スパイスで、パウダーはミックススパイスに、ホール(原料のままの状態)は油で加熱して香りを引き出す他、焙煎して粗挽きで用いることも。

記事の詳細はこちら↓

フェネグリーク

資料提供:エスビー食品株式会社

フェネグリークはマメ科の植物の種子を乾燥したもので、インドではメティともいいます。カレーパウダーや、チャツネの原料にもなり、そのままだと苦いですが、油で炒めるとカラメルのような甘く香ばしい芳香がたち料理に奥行きを与えるというのが特徴。

記事の詳細はこちら↓

カレーに使われる主なスパイス その2

カイエンペッパー

画像素材:写真AC

カイエンペッパーの定義については諸説ありますが、一般的に流通しているものは、「さや状の乾燥赤唐辛子を粉末にしたもの」を指します。別名にチリペッパー、レッドチリペッパーなど様々な呼び名があるスパイス。

カレーづくりにおいては主に辛味づけの役割があり、この分量の増減によって辛味を調節します。ちなみに混同されやすいのが「チリパウダー」。こちらは、いわゆるシーズニング(ミックス)スパイスでカイエンペッパーとは別のものなので要注意。

記事の詳細はこちら↓

赤唐辛子

画像素材:写真AC

こちらは完熟した唐辛子をさやごと乾燥させたもの。唐辛子は非常に品種が多いですが、ここで取り上げるのはいわゆるタカノツメ。カレーづくりでは辛味づけに用います。さやごとを油で炒めて加熱し、辛味と香りをうつして使うことが多く、種を取り除くと辛味がマイルドに。

記事の詳細はこちら↓

ターメリック

画像素材:写真AC

日本では「秋ウコン」の名で知られます。根の部分を乾燥させたもので、ほとんどの場合、パウダーにして使用。カレーらしい鮮やかな黄色をつける役割を果たし、着色力が強いスパイスです。またカレーらしい独特の香りも魅力で、少量でも充分に香りが出るのも特徴。

記事の詳細はこちら↓

カレーによく使われる「辛みを作る」スパイス その1

ブラックペッパー

資料提供:エスビー食品株式会社

ワイルドで刺激的ながらすっきりとした辛さがあるスパイスです。カレーには、パウダーともに使用。肉や青背の魚、乳製品など濃い味わいのものに使うと効果的で、ガラムマサラには不可欠のスパイス。

記事の詳細はこちら↓

ホワイトペッパー

画像素材:写真AC

原料としてはブラックペッパーと同じではありますが、違いは実が熟してから収穫し、皮を取り除いたものを乾燥させるという点。よって、料理を損なわない色になり、やさしい香りとなります。

記事の詳細はこちら↓

ジンジャー

画像素材:写真AC

ジンジャーとは日本語では生姜を指し、爽快な香りと辛みを合わせもつスパイス。フレッシュから、乾燥まで幅広い形で使用されます。カレーでは他のスパイスとともに下味や全体の香りづけの働きもします。

記事の詳細はこちら↓

カレーによく使われる「辛みを作る」スパイス その2

ガーリック

画像素材:写真AC

ガーリックは日本語ではニンニクを指し、古くから世界各地で幅広い料理に使われてきたスパイスのひとつです。肉や魚の消臭効果があり、カレ一づくりでは材料の下味付けから全体の風味付けまで様々な場面で多用。生のニンニクは特有の香りと辛味も強いですが、加熱すると辛味も香りもマイルドに。

記事の詳細はこちら↓

マスタードシード

資料提供:エスビー食品株式会社

カラシナの種子を乾燥したもので黄色、黒色、茶色の3種類あります。南インド料理では主に黒色のマスタードシードをスタータースパイス(最初に使用して香り付けするスパイスのこと)として油で加熱し、香ばしいよい香りを引き出します。野菜や豆との相性もよく、また香りだけでなく、プチプチとした食感も特徴。

記事の詳細はこちら↓

山椒

画像素材:写真AC

日本ではおなじみのスパイスですが、実はカレー粉の原料としても使われることも多い傾向に。独特の辛みと苦みがあり、風味は清涼感があります。

カレーによく使われる「香りを作る」スパイス その1

カルダモン

画像素材:写真AC

完熟前の緑色の種実を乾燥させたもの。グリーンカルダモンとブラックカルダモンがあります。カルダモンは柑橘を思わせる爽やかな香りと独特の甘さがミックスされたエキゾチックな香りを放ち、「スパイスの女王」とも呼ばれます。ホールとパウダーがありますが、カレーには主にホールを使うことが多い傾向に。

記事の詳細はこちら↓

ディル

画像素材:写真AC

外見は同じセリ科のフェンネルとよく似ていますが、スパイスとしては種子を乾燥したものを主に使用します。爽やかでシャープな強い芳香とピリリとした辛味が特徴。カレーパウダーの原料として用いられますが、西洋料理では野菜のピクルス用のスパイスとしても知られています。

記事の詳細はこちら↓

クローブ

資料提供:エスビー食品株式会社

日本語だと「丁子」「丁香」と呼ばれます。釘のような形をした甘く刺激的な香りと少し漢方薬のような香りが特徴です。熱帯・亜熱帯地方で成長する常緑樹のつぼみが開花する直前に摘みとって乾燥させたもの。インド系カレーにはホール、欧風系カレーにはパウダーが使われることが多い傾向に。

記事の詳細はこちら↓

カレーによく使われる「香りを作る」スパイス その2

シナモン

画像素材:写真AC

シナモンはクスノキ科の常緑樹の皮を乾燥させたもので、代表品種に「セイロンシナモン」や「カシア」などがあります。セイロンシナモンは上品で繊細、カシアは濃厚な香りで、いずれも特有の甘い香りが特徴。カレーではミックススパイスに使う場合を除き、ホールで使うことが多いです。

記事の詳細はこちら↓

ナツメグ

資料提供:エスビー食品株式会社

ナツメグの果実からは2つのスパイスがとれます。果実の仮種皮と呼ばれる部分は「メース」、そして、さらに種子の“仁”と呼ばれる核部分が「ナツメグ」です。ナツメグは消臭効果があり、羊肉や牛肉など肉料理だけでなく野菜とも好相性。香りが強いので使う分量には注意が必要です。

記事の詳細はこちら↓

オールスパイス

画像素材:写真AC

その名前からミックススパイスだと勘違いをされることもありますが、実は1種類のスパイス。「百味胡椒」や「三香子」などの呼称もあり、シナモン、クローブ、ナツメグをブレンドしたような深みのある香りが特徴。欧風カレーの隠し味に使われることもあります。

記事の詳細はこちら↓

カレーによく使われる「香りを作る」スパイス その3

フェンネル

資料提供:エスビー食品株式会社

稲もみのような形をした種子をスパイスとして用います。和名はウイキョウ。特有の清涼感のある甘い香りが特徴で、消化促進や口臭予防などの効能があり、かむと清涼感のある辛味が拡がります。インド料理屋店でよく食事後の口直し用のスパイスとして使用。

記事の詳細はこちら↓

ベイリーフ

画像素材:写真AC

別名はローリエ、月桂樹など。効果としては爽やかな芳香が素材の臭みを和らげます。実はインドで常用されているのは同じクスノキ科でも葉が大きく形も違うカシアリーフと呼ばれる別種ですが、どちらを使用しても問題ありません。使う際に葉を折ると香りが出やすくなる傾向に。

記事の詳細はこちら↓

陳皮(ちんぴ)

画像素材:写真AC

みかん果実の皮部分を日陰で乾燥させたものをそのままホール状、または粉末にしてスパイスとして使用します。柑橘類ならではのやさしく爽やかな香りが特徴。日本ではカレーパウダーのスパイスのひとつとして使われています。

記事の詳細はこちら↓

カレーによく使われる「香りを作る」スパイス その4

アニス

画像素材:写真AC

古代エジプトやギリシアですでに使われていたという、世界で最も歴史の古いスパイスのひとつです。種子を乾燥させたもので、甘くてスパイシーな香味が特徴で辛みはほとんどありません。インドではカレーやスープなどに好んで使われます。別名はスイートクミン。

記事の詳細はこちら↓

スターアニス

資料提供:エスビー食品株式会社

未熟な果実を乾燥させたものをスパイスとして利用します。英語名のスターアニスは香りの主成分がアニスシードやフェンネルシードの主成分と共通していて香りが似ていることと、外見上、8つの角を持つ星形をしていることから。八角ともいい、鶏肉や豚肉とよく合います。

記事の詳細はこちら↓

カレーリーフ

画像素材:写真AC

ミカン科の植物の葉のこと。柑橘系の爽やかさとゴマのような香ばしい芳香を合わせもちます。和名は「南洋山椒」。南インドやスリランカでは料理に不可欠な葉で、現地では生葉を使用します。日本では入手が難しいので乾燥・冷凍品で代用することも多い傾向に。野菜や豆類と相性がよいスパイスです。

記事の詳細はこちら↓

カレーによく使われる「香りを作る」スパイス その5

カスリメティ

画像素材:写真AC

マメ科のフェヌグリークの葉を乾燥させたもので、インド料理で多用されるスパイスのひとつ。カラメルのような特有の甘い香りを放ち、少量をカレーに用いると風味が増します。バターチキンカレーによく使われますが、野菜や豆との相性も抜群。フェネグリーク・リーフとも呼びます。

記事の詳細はこちら↓

レモングラス

画像素材:写真AC

東南アジアのエスニック料理に使われる代表的なハーブ。特に香り付けとしてタイカレーにはよく使用されています。葉はレモンのような清々しい香りが特徴。

記事の詳細はこちら↓

カフェライムリーフ(バイマックルー)

画像素材:写真AC

東南アジアではバイマックルーとも呼ばれ、タイやカンボジア料理で風味付けとして使われるミカン科のハーブ。そのままカレーに入れて煮込むと、さわやかな香りが漂います。

記事の詳細はこちら↓

カレーによく使われる「香りを作る」スパイス その6

アジョワン

画像素材:写真AC

アジョワンとは、野生のセロリの種を乾燥したものを指します。タイムを彷彿とさせる爽快な芳香と苦味が特徴。カレーパウダーの原料にもなります。インドの家庭料理でよく使われ、豆料理やトマトや魚介と相性抜群。

記事の詳細はこちら↓

ヒング

資料提供:エスビー食品株式会社

セリ科の植物の樹液をかためて粉末にしたもので、ドリアンのような強力な硫黄臭がします。しかし加熱すると甘く芳ばしい香りに変化。微量を使うと味わいが本格的になります。英語名はアサフォエティダ。

記事の詳細はこちら↓

メース

ナツメグの木になる果実を割ると、鮮やかな赤い網目状の仮種皮が現れます。これを乾燥させたものをスパイスとして用います。ナツメグと同様、甘くスパイシーな香りとマイルドな苦味を感じますが、メースの方がナツメグよりも繊細、やわらかで上品な香りが特徴です。

記事の詳細はこちら↓

サフラン

画像素材:写真AC

サフランは料理の色づけ、香り付けに用います。花から雌しべを抜き、乾燥させたもので、加工に手間がかかるため高価なスパイスとしても有名。

記事の詳細はこちら↓

パプリカ

画像素材:写真AC

辛くないので甘唐辛子とも呼ばれ、鮮やかな赤色と甘さを感じる特有の香りが特徴。一般的にスパイスとして出まわるパプリカは、日本で野菜として扱われるパプリカとは別種です。その色と風味を生かして肉を使った煮込み料理や米、野菜など幅広く料理に使用。

記事の詳細はこちら↓

クチナシ

画像素材:写真AC

アカネ科植物の果実。水、湯につけると、鮮やかな黄色の発色剤となります。カレーはもちろん、日本の金時やたくあんなどの色づけとしても有名です。サフランライスやターメリックライスの代用として使用されることも。

記事の詳細はこちら↓

カレーで使用するスパイスの種類はこれだけある!

スパイス全種類でいえば、何百種類とありますが、カレーで使用することが多いスパイスを厳選してまとめました。

カレーにおけるスパイスの役割は、主に、香り・辛み・色づけに分けられます。香りは味に深みやバリエーションを与え、辛みは食欲を刺激すると共に保存性を高める効果も。赤や黄色の色づけは、カレーをおいしく見せるための重要なポイントです。スパイスに注目してカレーがより深く楽しめるハズ!

※「カレー大全」「プロに学ぶ新カレー教本 人気21店の作り方・考え方」に掲載した内容を再編集しています