イタリアのパスタの種類ってどれくらいある?定番からご当地パスタまで20種類を解説

「パスタ」というとスパゲッティやマカロニなどが有名ですが、イタリアではパスタという言葉は「麺類」の総称となっています。実はパスタは麺状のものだけでなく、ラザニアやニョッキなどの固形物もパスタの一種。実際にイタリアではどれだけの種類のパスタがあるのでしょうか?

この記事ではボ~ノ・イタリア~ノが、パスタの種類について解説していきます。パスタに詳しくなりたい人におすすめ!

ロングパスタ その1

タリオリーニ(タヤリン)

写真撮影:RISTORANTE AL PONTE

卵黄をたっぷり使うリッチなパスタで、濃厚な味わいとのど越しのよさが魅力。 約2mm幅とごく細く切り分け、乾燥させることで歯ごたえとしこしこ感を出します。 卵が多く乾燥しやすい生地なので、切るときは手早く行います。

一般的にはタリオリーニと呼ばれますが、 ピエモンテ州ではタヤリンと呼ばれ親しまれています。

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タリアテッレ

写真撮影:Piatto Suzuki

主にエミリア・ロマーニャ州で食べられている幅広の平打ちパスタ。「tagliare(=切る)」が語源とされ、ごく薄く延した生地を8mmほどの幅に切ります。こちらは粗挽きの黒胡椒を練り込んだ「Tagliatelle con pepe nero」。

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ビーゴリ

写真撮影:Piatto Suzuki

ヴェネト州の名物で、生地をトルキオというプレス機で絞り出す太めのロングパスタ。強い圧力をかけて絞り出すため、それに負けない生地を作る必要。現在は小麦粉をベースに作られることが多いのですが、ビーゴリは伝統的にはそば粉で作られてました。

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ロングパスタ その2

ピチ

写真撮影:Taverna I

トスカーナ・シエーナ県発祥のシンプルなパスタ。 小麦粉と塩に、ラードを練り込む点が特徴。両手の平で転がして太めの棒状に延ばします。 もっちりとした食感を楽しむもの。

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トロッコリ

写真撮影:RISTORANTE AL PONTE

プーリア州で食べられている、うどんのように太く、素朴な雰囲気が魅力の生パスタ。 めん棒のような形をし、ロール面に等間隔で溝がついた専用の器具を使い、 生地を延すようにして押し切ると、幅と厚みが均一な麺ができあがる。しっとり、もっちりとした食感が特徴。

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パッパルデッレ

写真撮影:Vino Hirata

トスカーナ州でよく用いられる幅広の平打ちパスタ。 強力粉とセモリナ粉を同割で使って固めの生地に仕上げます。しっかりとした食感で食べ応えも十分。 帯状に延した後、ソースのタイプを考えて幅を決め、カットします。

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ショートパスタ その1

オレッキエッテ

写真撮影:Vino Hirata

細かく切り分けた生地のまん中を親指で押さえ、まん中部分がへこんだ、耳のようなユニークな形に成型したもの。プーリア州の名物パスタの一つ。 もちもちした食感で、厚みのある部分と薄い部分の食感の変化が魅力です。

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トローフィエ

写真撮影:RISTORANTE AL PONTE

リグーリア州ジェノヴァ発祥の、「かんなくず」という名のショートパスタ。手で細い棒状にするので、成型しやすいよう軟質小麦粉をメインに、伸びのある生地を作ります。長さは個人の好み。食べると程よい弾力がありますが、両端の細い部分は柔らかく、 噛むほどに旨みが感じられて食べ飽きないおいしさが魅力です。

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ガルガネッリ

写真撮影:Piatto Suzuki

「鶏の器官」の意味を持つ、エミリア・ロマーニャ州のショートパスタ。延した生地を切り、ペッティネという筬(おさ)に似た道具と棒を使い、細かい溝をつけて丸めます。生地が一重の部分と二重の部分とで厚みが変わるため食感の違いが味わえ、溝や筒にソースがよく絡むパスタです。

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ショートパスタ その2

ニョッキ

写真撮影:Ristorante Ogawa

ジャガイモと小麦粉を合わせて団子にしたパスタ。 モチモチした食感を好む傾向もありますが、あまり粘りを出さす、食べたときにソースと一緒にホロリとロで溶ける仕上がりがベスト。 こちらではピーツを加えて色鮮やかにしたもの。

ラザーニャ

写真撮影:Pepe Rosso

日本では定番の長方形のパスタ。 乾燥パスタでも売られていますが、生パスタの優しい食感には代えがたいもの。 生地をこねる際は、いきなり最初から強く押し付けず、ゆっくりと優しく扱います。

卵でつなげるパスタではあるものの、 生地の様子を見て、途中で細かな霧吹きを使って極く少量の水分を足すと、ふわっとした食感に仕上げることが可能です。

ストリケッティ

写真撮影:RISTORANTE IlFigo Ingordo

イタリア北東部 、エミリア・ロマーニャ州のパスタ。薄くのばして四角に切り分けたパスタ生地を蝶のような形に成型します。ベースはタリアテッレと同じですが、立体的でソースがよく絡むというのが特徴。生地の厚みが部分により異なり、食感の違いも楽しめます。発色のよい食材を合わせてパリエーションを出すことが多く、ホウレン草、トマトの他、ビーツなどを練り込むことも。

詰め物パスタ

カッペレッティ

写真撮影:Vino Hirata

その形の愛らしさから「小さな帽子」と名付けられた詰め物パスタ。エミリア・ロマーニャ州が発祥とされ、 中部イタリアではクリスマスの料理として欠かせないパスタです。

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ファゴッティーニ

写真提供:Piatto Suzuki

小さな包み、巾着袋という名の詰め物パスタ。正方形の生地に具をのせ、四隅を合わせて巾着型にセモリナ粉を加えて香りを引き立たせ、色よく仕上げます。生地を噛んだとき、詰め物の香りがふわっと抜けるのが醍醐味。

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カネロニ

写真撮影:Taverna I

南イタリアの料理で、「大きな葦」の意味。長方形にパスタを作り、リピエノ(詰め物)を芯にして円筒形に巻いて作るもの。リピエノはラグーの他、色々なものを使えるのが利点。 ラザニアは日本では知名度は高いのですが、似たような構造を持つカネロニを提供している店は少ないというのが現状です。

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その他のパスタ その1

ピッツォッケリ

写真撮影:RISTORANTE AL PONTE

北イタリア・ロンバルディア州でポピュラーなそば粉のパスタ。 やや厚めの短冊型で、舌触りや噛み応え、また口の中に広がるそば粉の香りが魅力。 日本そばにも十割、二八とあるように、そば粉と小麦粉を同割りにしたり、そば粉100%で作るなど、好みでアレンジも自在。

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テスタローリ

写真撮影:Taverna I

古代ローマ時代に生まれた、イタリア最古の歴史を持つ素朴なパスタ。 トスカーナ北部でリグーリアとの州境近くに位置する、ルニジャーナ地方が発祥です。

今日ではリグーリア州のラ・スペツィア、チンクエ・テッレなどで食べられています。 練ったり延したりする作業はなく、テストという鋳物の専用浅鍋を用いてクレープのようにかまどで焼いて作るもの。ふわっとした優しい食感が癖になるパスタです。

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ストロッツァプレーティ

写真撮影:Clima di Toscana

エミリア・ロマーニャ州発祥のパスタ。材料がシンプルなことから家庭でよく作られています。卵入りのレシピもあり、長さも家庭によってまちまち。10cmくらいが一般的。直訳すると「首を締められた僧侶」で、由来は諸説あります。

その他のパスタ その2

クロゼッティ

写真撮影:Ristorante Ogawa

コルツェッティとも呼ばれるリグーリア州のパスタ。丸く抜いた生地を模様が掘られたスタンプで挟みます。古くは紋章が押されていました。スタンプを押して圧力がかかるため、生地は練りすぎないようにします。

パスタ・アル・サッコ

写真撮影:Pepe Rosso

マルケ州北部でアドリア海に面した町・ペーザロのパスタで、非常に純朴なマンマのパスタ。「袋入りのパスタ」という意味で、こねた生地を袋詰にして茹でて作るというのは、日本では馴染みがないかもしれません。材料も少なく工程も簡単なところに、このパスタを作るお母さんの忙しさがわかるような工夫がされています。茹でたら、キューブ状にカットして使用。

パスタの種類はこんなにある!

いかがだったでしょうか?ひとくちでパスタといってもこれだけの種類があるんですよ。パスタもそれぞれ歴史やソースとの相性があります。ぜひいろいろと食べ比べてみてくださいね。

※「新版生パスタの技術」に掲載した内容を再編集しています。