本場イタリアのエスプレッソとは?カフェマニアが解説
エスプレッソの本場はイタリア。現地ではエスプレッソはどのように楽しんでいるのでしょうか?
ここではカフェやコーヒーに関する本を多く出版してきたカフェマニア編集部がイタリアのエスプレッソ事情を解説。もっとコーヒーについて詳しくなりたい人におすすめ!
本場イタリアでは、エスプレッソはいつ飲んでいる?
まず、イタリアの朝食はパンとカプチーノが定番。実は朝食を外でとる人の約70%の人は、カプチーノを飲んでいるといいます。
フランスの朝食にカフェ・オ・レがクロワッサンと共に飲まれるのと同じように、イタリアでも刺激の強いエスプレッソより、クリーミーで胃にやさしいカプチーノが、朝一番の食事に最適とされています。一方、エスプレッソを飲むのは、午後の時帯が多いですね。疲れた時や気分転換をしたい時、そして食後に飲まれます。
エスプレッソ特有の高い香りと味は、疲れた頭の中をはっきりさせます。食後の場合は料理とドルチェを食べた後の重くなった口の中をすっきりさせ、また胃の働きを促し、消化を助ける、などの働きがあります。
ドルチェなどと一緒に飲むことは、エスプレッソでは分量的に少な過ぎるので難しいです。またカプチーノの場合は、ミルクがドルチェの甘みを邪魔することに。
したがって、エスプレッソは単独で飲むのに適しています。食間や食後に飲むと、その魅力が味わえるでしょう。そしてカプチーノは、ケーキではなく、パンなどと一緒に、朝食の時に味わうのが良いのです。
イタリアでは、北と南でエスプレッソの味も違う
イタリアでは、各地域によって食文化が違うといわれますが、面白いことに、エスプレッソの味にも、地域差があるのです。北部と南部で、嗜好に違いがあるのですが、これはローマを境として、はっきりと分かれるそう。
まず、エスプレッソの分量。ローマから北、ミラノまでは20~25cc、多くてせいぜい30ccであるのに対して、南のナポリなどでは15ccから、多くて20ccまでで。次に味。北の都市は日本でいうシティロースト(中煎り)で、酸味と苦みのバランスも抜群。対して南では、かなりローストが深く、ボディもしっかりしていて、苦みも強いのが一般的です。
つまり、南に行くほど量は少なく、その分、味は濃厚に。北に行くほど、量は多く、その分、味はソフトになる傾向があります。
一般に、暑い土地では刺激の強い味が求める傾向が強く、他方で、食材の豊富な地域では、繊細でソフトな味を求める傾向に。使われている豆の種類の違いもありますが、こうした気候の関係から、イタリアではエスプレッソにも地域格差が生まれたものと考えられます。
イタリア流エスプレッソの楽しみ方とは?
イタリアのバールでは、バリスタが工スプレッソを作るのですが、美味しいエスプレッソを抽出するには、豆、抽出温度、抽出気圧、抽出時間、抽出量の5つのポイントが重要になります。
豆はやや深煎りのものを使用します。90度℃の湯温、9気圧の圧力で20~30秒で20~25ccを抽出します。こうした要件を満たすよう、お店の混雑具合や機械の調子なども勘案し、豆の挽き方を微妙に変え、お客の好みに合わせてエスプレッソを抽出しなければならないのです。
そうして抽出された香りと旨味の高いエスプレッソは、ややぬるめ。50~60cc用の小さなカップに、20cc前後しか入っていないことが多いですね。そこに砂糖を入れ、スプーンでガチャガチャかき回します。砂糖が溶けたら、クイッと2~3口で飲み干すのが本場の楽しみ方。砂糖を入れることで苦みが和らぎ、香りも引き立つので、イタリアでは砂糖を入れずに飲む人は、まずいません。
エスプレッソは、ほんの2~3口で飲み終えるので、バールなどで立って飲む人は2分もいないことが多いです。しかし、芳醇な香りとうま味は口の中にしばらくは残っており、お店を出てしばらくは、その余韻を楽しむことが可能。これもエスプレッソならではの魅力といえるでしょう。
本場イタリアのエスプレッソのスタイルを取り入れよう
日本ではコーヒー店は増え続け、本格派のエスプレッソを楽しむ機会はますます増えています。思うままに飲むのもいいですが、本場の楽しみ方を知るとエスプレッソの魅力がより深まりますよ。
※画像はイメージです
※MOOK「料理と食シリーズNo.13 コーヒー」に掲載した内容を再編集しています
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