ラーメンのタレとしての醤油はどんなもの?その種類と特徴をラーメンマニアが解説

ラーメンのタレに欠かせない調味料の一つが醤油。近年は様々な醤油が出回っていて、数種の醤油を独自にブレンドして使う店も増えています。

ここではラーメンに関する本を多く出版してきたラーメンマニア編集部が醤油の種類や特徴にについて解説していきます。ラーメンに詳しくなりたい人におすすめ!

ラーメンのタレに使用される醬油とは?大きく5種類に分類

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醤油は色、味、香りの3つの要素から成り立つ調味料。食欲をそそる美しい色、奥深い味わい、独特の香りが、ラーメンに魅力を添えます。特に、醤油の旨味や香りはラーメンにとっても大切な要素。

醤油の旨味は、原料である大豆と小麦に含まれるたんぱく質が、麹菌の酵素で分解され、約20種類のアミノ酸に変化して生まれるもの。また、醤油の香りは非常に複雑にできており、現在わかっているだけで約300種類もの香り成分が含まれているといわれるほど。リンゴやバラ、バニラなど、ごく微量の香り成分が渾然一体となり、特有の香りを作り出しています。

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「醤油」と一口に言っても、その種類は様々。日本農林規格(JAS)では、醤油を「こいくち」「うすくち」「たまり」「さいしこみ」「しろ」と、大きく5つに分類しています。「減塩醤油」や「丸大豆醤油」などは、この5種類に付加価値を添えた醤油。

ちなみに、市販のだし入り醤油やつゆ類などは、醤油をベースにした加工品であり、JAS規格では醤油の中には含まないのです。

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醤油は古くから全国各地で製造されており、それぞれの地域の嗜好や産品、調理方法の違いなどにより味わいは異なります。

よく「醤油は南にいくほど甘い」といわれますが、実際に九州の醤油には砂糖や甘草エキスなどの甘味料が多く使われています。なぜ甘くするかは、様々な説があり、さとうきびの栽培が盛んな沖縄に近く、昔から砂糖が手に入りやすかったという説や、長崎でオランダとの貿易が行われて、大量の砂糖が輸入されていた説などさまざま。現在、日本全国には約1200社の醤油メーカーがあり、こうした各地域の嗜好に合わせた醤油が作られています。

日本農林規格(JAS)による醤油の種類分け

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日本全国に様々な醤油がある中で、JAS規格では醤油の種類を下記の5つに分類しています。

■濃口醤油
・原料と製法
大豆と小麦がほぼ同割の麺を作り、食塩水と一緒に仕込む。約6カ月かけて発酵・熟成させる。
・食塩分(重量/容量)16%
・生産地域
関東を中心にした全国各地
・味の特徴
塩味の他に深い旨味、まろやかな甘味、さわやかな酸味、味を引き締める苦味を合わせ持つ。

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■淡口醤油
・原料と製法
仕込みの際に、濃口醤油より食塩を約1割多く使用して、発酵と熟成をゆるやかにさせる。味をまろやかにさせるために、甘酒も用いる。
・食塩分(重量/容量)18%
・生産地域
主に関西地方

■再仕込醤油
・原料と製法
大豆と小麦はほほ同割で、食塩水の代わりに醤油を使って仕込む。「甘露しょうゆ」ともいわれている。
・食塩分(重量/容量)16%
・生産地域
山口県を中心に山陰から九州にかけて
・味の特徴
色・味・香り共に濃厚

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■溜醤油
・原料と製法
原料のほとんどが大豆で、小麦はごくわずかしか使わない。大豆を蒸して味噌玉麹を作り、食塩水で仕込む。約6ヵ月~1年かけて発酵・熟成させて作る。
・食塩分(重量/容量)16%
・生産地域
愛知・三重・岐阜など東海地方
・味の特徴
色が濃く、濃厚な旨味と独特な香りを持つ。

■白醤油
・原料と製法
原料の大半は小麦。精白した小麦に、炒って皮をむいた大豆をごくわずか加えて麹を作り、食塩水で仕込む。低温で約3ヵ月発酵・熟成させる。
・食塩分(重量/容量)18%
・生産地域
愛知県碧南地方
・味の特徴
淡泊ながら甘味が強く、独特の香りがある。

その他の醤油

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上の5種類の醤油に、素材や製法など作り手のこだわりを取り入れた、付加価値のある醤油もあります。

■減塩醤油
特殊な方法により、濃口醤油から旨味や香りを残して塩分だけを約50%取り除いたもの。厚生労働省の「特別用途食品」に指定されていて、塩分含有量は9%以下に定められています。他に、塩分が普通の醤油の80%以下、50%以上のものは「うす塩(あさ塩・あま塩)」と呼ばれています。

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■丸大豆醤油
醤油には、脂肪分を取り除いた脱脂加工大豆を使うものと、大豆そのままを使うものの2種類があります。「丸大豆醤油」は、大豆を丸ごと用いた醤油のこと。脱脂加工大豆を使った醤油はシャープな風味とキレのある香りが特徴なのに対し、丸大豆の醤油は味わいが濃厚で香りがまろやかといわれています。

■生醤油
醤油の製造過程で、発酵・熟成させた諸味を圧搾して得られた液体を口過により除菌したものを「なましょうゆ」といいいます。火入れを行っていない醤油で、そばつゆづくりなどに用いられています。また「きじょうゆ」という言葉もありますが、これは食品添加物を使用せず、食塩以外のものを加えていない醤油を指し、火入れの有無は関係がありません。

ラーメンのタレに使用される醬油はこれだけある!

このように、醤油にはいろいろな種類があり、ラーメンのタレを作る際に、どの醤油を使ったらいいか悩む店主も多いというのが現状。最近では、健康志向やグルメ志向を反映し、「丸大豆」「長期熟成」「有機栽培」といった、やや高価な醤油も数多く出回っていて、それを活用したこだわりの醬油ラーメンもあります。

※画像はイメージです
※MOOK「人気店が公開する調理技術ラーメン」に掲載した内容を再編集しています