六本木のフレンチレストラン『ル・スプートニク』のディナーコースを徹底取材!美しすぎる「薔薇」の料理とは?

世界で最もミシュランの星付き店が多く、美食の街として名高い東京。その数は本家パリの倍近くにもなり、大切な日のお店選びに悩んだ経験がある人も多いでしょう。

今回フードマニ子がご紹介するのはそんな東京・六本木にあるフレンチレストラン『ル・スプートニク』。店名である「スプートニク」とはロシア語で「旅の連れ」を意味する言葉。まるで旅をしている時のような驚きとわくわくが味わえるミシュラン1つ星のお店で、特別な日の食事にもぴったりの場所です。今回は全13品の完全おまかせディナーコースを徹底取材!1品ずつご紹介していきましょう!

1.あおさのチップス(アミューズ)

中に挟まれたウニとムースが零れないように慎重にパクッ!

まず出てきたのは「あおさ」のチップスを使ったアミューズです。薄く延ばしたあおさチップスの中には北海道産の生ウニと焼きナスのムースが挟まれていて、手で掴んでそのままいただきます。ウニの甘さと焼きナスの香ばしさ、そしてチップスのカリカリ感が抜群のコンビネーションで、コースの始まりを飾るのに相応しい一皿でした。

2.そら豆のタルト(アミューズ)

そら豆がぎゅぎゅっと凝縮されたアミューズ

アミューズ2品目はそら豆のタルト。フロマージュブランにそら豆のムースやジュレ、パウダーなどを合わせタルトに載せたもので、上にはベルギー産のキャビアがトッピングされます。そら豆の香りとキャビアの程よい塩味、タルト生地の甘みが良く合います。

3.毛ガニ(アミューズ)

スパイスとカニ、白にんじんの組み合わせ…最高!

3品目のアミューズは、毛ガニにナツメグやクローブなどのスパイスを合わせた一品。白にんじんのムースと一緒にチュイルで挟んでおり、複雑に織り重なったスパイスの香りがクセになります。アミューズを提供しないお店もある中で、『ル・スプートニク』は凝ったアミューズが3品も!最初から心を掴みに来るような料理でした。

4.イワシのガスパッチョ

夏らしい爽やかな冷前菜。フェンネルの花が良いアクセント!

石川県で獲れる「入梅いわし」を使用した一皿。入梅いわしとは梅雨の時期に銚子港で最も多く水揚げされる真イワシのこと。こちらは皮面に塩をまぶしてマリネし、キュウリと交互に盛り付けています。上にフェンネルの花を飾り、スイカのガスパチョとキュウリのムースで爽やかに仕上げられたもの。

5.若鮎のフリット

ピンと自立した若鮎のフリット。揚げたてでサクサクです

続いて出される若鮎は、つい先ほどまで生きていたという鮮度抜群のもの。調理に入る前に水槽に入った若鮎をテーブルまで見せに来てくれる演出も粋です。生きた状態のまま揚げることでヒレがピンと立ちやすくなるそうで、皿の上をまるで泳いでいるように自立している若鮎がユニーク。

そんな若鮎に合わせるのはニンニクや鮎の肝で作ったピューレ。上にはマリーゴールドの花やサラダが彩られ、フリットを手で持ってディップしていただきます。揚げたて熱々の若鮎の身はホクホクと柔らかで、ソースとの相性もばっちりです。

6.うなぎとヤングコーン

山椒+鰻+おこわ…だけどフレンチ!

うなぎは朝倉山椒の香りが移るように蒸し焼いて、ヤングコーンやトウモロコシのおこわと一緒に。鰻の旨味や香ばしさ、コーンの甘さ、山椒の特有の爽やかな香りが見事にマッチした一皿です。おこわは鰻の骨の出汁で炊いていて、もちもちとした食感がアクセントになって興味深い一品に。一見日本らしさ全開の構成ですが、意外にも「和食感」は薄く、イノベーティブなフランス料理として楽しめます。

7.モリーユ茸とホタテ

ホタテとモリーユ茸…合う!!

そして特に印象的だったのがモリーユ茸を使った温前菜。モリーユ茸とは傘の部分に付いたヒダと、空洞になった内部が特徴のキノコ。不気味な見た目に反して豊かな香りが魅力で、トリュフに次いで高値で取引されるキノコでもあります。

この料理ではそのモリーユ茸の空洞にホタテのムースを詰め、グリーンアスパラやうずらの卵のポーチドエッグ、ベーコンとモリーユ茸風味の泡と合わせます。ホタテの甘みとモリーユ茸の香り、そしてそれを包み込むようなポーチドエッグのまろやかな風味が理想的な組み合わせ。

8.万願寺唐辛子と米ナス

大きな万願寺唐辛子が丸ごと!ボリューム満点です!

続いて出てきたのは野菜が主役のお皿。大きな万願寺唐辛子と米ナスをグリーンカレーのソースで合わせた一品で、上には熟成させたヤリイカのスライスと、ハーブのサラダが載ります。

ハーブはナスタチウム(キンレンカ)や甘い香りが特徴のアニスウィート、セルフィーユ、香りに一癖あるエストラゴン、ノコギリソウ、ディル、パクチーなどさまざまな種類が使われ、口に入れた瞬間にぶわっと良い香りが広がります。

これだけいろいろ使っていたら香りが喧嘩しそうなものですが、全体的にまとまりがあって、野菜をメインにというコンセプトも面白かったです。

9.スペシャリテ「薔薇ビーツとフォアグラ」と「パテアンクルート」

芸術品のように美しい「薔薇ビーツとフォアグラ」

今回2名で利用したのですが、驚いたのがフォアグラのお皿でそれぞれ別の料理が出てきたこと。一つはお店の看板メニューでもある「薔薇ビーツとフォアグラ」。フォアグラのテリーヌの上に薔薇の花びらに見立てたビーツのチップスが1枚1枚丁寧に飾り付けられ、まるで1輪の薔薇のように仕上げられています。もはや芸術品の域で崩すのがもったいないほど美しい料理ですが、味も見た目に違わぬ美味しさ。

具だくさんのパテアンクルート。こちらも美味!

そしてもう一方のお皿にはフランスの伝統料理の一つ、パテアンクルートが。パテアンクルートとは、テリーヌなどをパイ生地で包んで焼いたもの。フォアグラの他にも鶏レバー、鶏むね肉、猪肉、鹿肉、鴨肉、ピスタチオ、プラムなどさまざまな食材が使用されたこだわりの品です。横に添えられたパインのコンフィチュールとの相性も良く、連れと分け合いっこできるのがまた楽しい!

10.甘鯛の松笠焼き

甘鯛はたっぷりの九条ネギと

この日、魚料理に選ばれたのは山口県の萩で獲れた甘鯛。合わせるのは石川県の伝統的な魚醬「いしる(いしり)」やトマトのエキスなどを使用した特製ソースです。それだけだとトマトの酸味や「いしる」独特の風味が口に残るのですが、不思議と魚と一緒に食べると酸味がまろやかになり、苦みも残らなくなります。松笠焼きのパリパリ感、ソースの旨味が完璧に計算しつくされた素晴らしい構成でした。

11.エゾシカのロースト

記憶に残る最高のメインディッシュ

これはフレンチ業界全体に言えることなのですが、どれだけイノベーティブなフレンチレストランであったとしても、メインの肉料理はシンプルにまとめる傾向があります。特に肉に柔らかさを求める昨今、肉料理はローストされて出される場合が圧倒的に多く、それゆえに個性の出にくい部分でもあります。その分、各レストランは火入れ加減やソースの風味、付け合わせで「そのレストランらしさ」を表現します。

今回『ル・スプートニク』でいただいたのは、エゾシカのロースト。鹿の血と赤ワインで作られたソースは甘く深い味わいで、付け合わせには焼き芋とブドウが添えられます。それもただの焼き芋とブドウではなく、それぞれこだわり抜いた一級品。焼き芋には「兼六いも」と呼ばれる品種を使用。こちらは石川県で栽培されているサツマイモで、強い甘みとしっとりとした食感が特徴です。それ自体がスイートポテトのように甘く、鹿肉の旨味を十分に引き立たせます。

まるで森の中を散策しているような一皿

それに加えて、ブドウはなんとオーブンで8時間もローストするというこだわり。ブドウのエキスが凝縮されてグッと糖度が増し、干しブドウとはまた違った深い甘みが生まれます。フードマニ子としても初めての味わいでしたが、無限に食べられそうなほど素晴らしい付け合わせ。

普段ならば「コース全体で一番印象に残った料理」にメインディッシュを挙げることはほとんどないのですが、『ル・スプートニク』はきちんとメインが主役になっているレストランだとフードマニ子は感じました。

12.メロンのアヴァンデセール

エルダーフラワーのトッピングが可愛い

大満足のメインディッシュをいただいたあとは、お待ちかねのデザート。全13品ということで、デザートもアヴァンデセールとグランデセールの2つを楽しめます。取材時のアヴァンデセールは、丸くくり抜いたメロンの果肉と根セロリのアイス、エルダーフラワー、ミルクのソースなどを合わせたさっぱりとしたもの。お口直しにもピッタリの一皿です。

13.チョコレートとさくらんぼのグランデセール

熱々のソースを上からたっぷりかけていただきます

またグランデセールにはチョコレートやピスタチオのアイス、さくらんぼを使用した一品。チョコプレートの上から熱々のソースをかけて崩していただきます。ラム酒の香りが口の中に広がる大人の甘さで、ボリュームも抜群です。

旅をしているかのようなワクワクを味わえるお店

素敵なディナーになりました!

『ル・スプートニク』にメニュー表はありません。次は一体どんな料理が出てくるのか、常にそんなドキドキワクワクに満ちていて、まさに「旅」をしているような楽しさがあります。見た目の美しさだけでなく、フレンチの伝統を取り入れながらも新しいエッセンスを加えた料理の数々は、ここでしか食べられない特別なもの。ぜひ大切な日の食事として候補に入れてみてくださいね。

le sputnik(ル・スプートニク)

住所

東京都港区六本木7丁目9-9 リッモーネ六本木1F

営業時間

ランチ12:00-13:00 (LO.) / 15:30 (Close)

ディナー18:00-20:30 (LO.) / 23:00 (Close)

定休日 月曜日
  ※記載のデータは取材時のものです。