コーヒー豆の焙煎とは?コーヒーが美味しくなる焙煎の過程と用語をカフェマニアが解説

焙煎とは、生豆に熱源を用いて加熱して、水分を除去するとともに、加熱によるコーヒー豆の化学成分の変化を形成させる工程のことを言います。

ここではカフェやコーヒーに関する本を多く出版してきたカフェマニア編集部がコーヒーが美味しくなる焙煎過程と専門用語を解説。もっとコーヒーについて詳しくなりたい人におすすめ!

コーヒーが焙煎されるまでは5段階ある

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コーヒーの焙煎には、生豆を焙煎機に投入してから煎り上がるまでの段階を主に5段階に分けられます。

1、生豆の温度を上げる段階。
2、コーヒー豆を加熱して蒸らしてやわらかくする。
3、コーヒー豆に含まれる水分を飛ばす。コーヒー生豆に含まれる水分は、 天日乾燥式の精製したもので10〜13%、水洗式の精製をしたものは弱干多いとされます。この水分を加熱温度の上昇にしたがって生豆から遊離させます。これを「水分抜き」という表現も。
4、加熱が進むと、コーヒー生豆の成分が熱分解反応や化学変化が起きます。「ハゼ」といった現象も発生。
5、目指す焙煎度合いに達したら、焙煎を終了して、すぐに焙煎豆を冷却して熱分解反応を止めます。

これが一連の流れです。次からは焙煎のポイントや種類を解説していきましょう。

焙煎度合い(ローストポイント)の違いとは?

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焙煎度合いはローストポイントと呼ばれることがあります。そのコーヒー豆に適したローストポイントは一つだけではなく、2つほどあるという考え方も。そのコーヒーの個性的な部分は一つだけではないので、どの個性を引き出すためのローストポイントを選ぶかが重要になってきます。

ここではそれぞれのローストポイントを一覧にして紹介していきましょう。

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■浅煎り
・ライトロースト
うっすらと焦げ色がついた程度 。酸味が突出し、ほとんどコクがない。

・シナモンロースト
全体が褐色になる。酸味が強く苦みが物足りない感じ。

■中煎り
・ミディアム口ースト
茶褐色。酸味が主役ですが、苦みもあり軽い味わい。

・ハイロースト
深めの茶色。日本で最もポピュラーで、苦み、甘みのバランスがよい。

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■深煎り
・シティロースト
鮮やかなコーヒー色。ハイローストと同様にポピュラー。酸味が抑えられ苦味やコクが感じられる。

・フルシティ
濃いチョコレート色。酸味が少なく、やや苦味が強く出る。

・フレンチロースト
酸味はほぼなく苦味とコクが際立ち、ミルクと合わせてもコーヒーの味がしっかりと残る。

・イタリアンロースト
表面に油脂が浮いて光っている。酸味はなく、濃厚な苦味と香味がある。

ハニカム構造とは?

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コーヒーの生豆に熱量を加えて焙煎すると、豆の組織は膨張し、変化します。直径およそ0.02〜0.09ミリの空洞が連なる状態で、ハチの巣に似ていることからハニカム構造と呼ばれます。コーヒー豆をミルで挽いてもハニカム構造は粉の粒子の中に存在します。

ただし、コーヒー豆を細かく挽くほど、ハニカム構造の空洞を壊す比率が高くなります。そのため、細かく挽くほうが、コーヒーの香味成分が放出されたり、酸化される度合いが高まります。

「ハゼ」のタイミングがポイント

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焙煎を進めてコーヒー豆が茶色く色づいてくると、パチッ、パチッと はじける音がし始めます。この豆が爆ぜる現象を「ハゼ」と言い、カタカナで表記されることが多いです。この音がおさまり、さらに焙煎を続けると、続いてピチッ、ピチッというはじける音がしてきます

ハゼは、焙煎による加熱の中でコーヒー豆の細胞構造内で化学変化が生じ、細胞内のガス圧が高まって、ガスが外に飛び出そうとして起こります。ハゼが始まってから、火力の調整やダンパーの調整をしたり、焙煎工程の中の調整のタイミングをはかるポイントにされるとともに、焙き上がりのタイミングを見るポイントにもされます。

煎り止めとは?

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「この状態で焙煎を止める」という焙煎段階。煎り止めは、焙煎豆をドラム(釜)から出すだけでなく、同時に急速冷却するまでが含まれます。 煎り止めは、スプーンを抜いて、豆の色や質感、膨らみ方を見て判断します。

ただし、深煎りまで焙煎が進んでいると、ほんの数秒で焙煎度合いが変わります。スプーンを抜いて豆を見ているときにも、ドラム内では焙煎が進行中。こうした時間差もイメージしながら煎り止めのタイミングをはかることが大切です。

焙煎過程に注目するとコーヒーはより楽しめる!

コーヒーは焙煎一つで味わいが全く異なります。焙煎度合い(ローストポイント)はそれぞれを理解するとなるとなかなか難しいもの。一つ一つ比べながらコーヒー豆の焙煎の深さを味わってみてくださいね。

※画像はイメージです
※「コーヒー焙煎用語ブック」に掲載した内容を再編集しています