深海魚って実は美味しい!?未利用魚を食べる取り組み「かごしま深海魚研究会」についてフードマニア編集部が徹底解説!
「グロテスクで美味しくなさそう…」
恐らく多くの日本人は深海魚についてそんなイメージを持っているのではないでしょうか。しかし、高級魚で知られるアカムツ(のどぐろ)やキンメダイも、実は深海魚の仲間!「深海魚=まずい」というのは誤解なんです。
この記事では、深海魚の一大漁場である鹿児島で実際に行われている、海を守るためのプロジェクト「かごしま深海魚研究会」や、鹿児島の海で獲れる「うんまか深海魚」についてたっぷり解説していきます!
未利用魚の現状は?
みなさんは「未利用魚」という言葉を聞いたことがありますか?SDGsに関心のある人なら一度は耳にしたことがあるかもしれませんが、「未利用魚」とはサイズが規格外であったり、一般には知られていないがために値段が付かず、棄てられている魚のこと。深海魚の多くはまさにそんな未利用魚であり、中には高級魚に負けない味でありながらも、その見た目の奇妙さから敬遠されているという実情があります。
「かごしま深海魚研究会」の取り組みの内容は?
深海魚と言えば静岡県の沼津が有名ですが、実は鹿児島の海もそれに並ぶほど豊かな深海漁場を持っています。南北600キロにも渡る海は、とりわけ深海域(水深200m以上の海)の水産資源の多様性、豊富さに優れていて、こんな海は日本でも珍しいのだとか。
しかし、都道府県別の魚介類の消費量を見てみると、鹿児島県はほとんど最下位に近い順位。消費量だけでなく、漁業者の数もどんどん減っているのです。
そんな現状を打破すべく結成されたのが、2020年8月よりスタートした「かごしま深海魚研究会」。鹿児島大学水産学部、鹿児島市の水産仲卸売会社である株式会社田中水産、深海底曳網(そこびきあみ)が盛んな南さつま市がタッグを組んだ、産学官の合同プロジェクトです。
底曳網漁では、対象の魚だけでなく、深海域にすむさまざまな魚介類が漁獲されます。しかしそのほとんどは、キロ0円の未利用魚。このプロジェクトでは、今まで海上で投棄されていた深海魚に着目!キロ0円の魚がきちんと消費され、お金になれば、当然漁業者のモチベーションも上がりますよね。それは結果的に、後継者の確保、果ては次世代の海を守ることにも繋がるのです。
2022年11月にはこの取り組みが認められ、九州農政局が主催する令和4年度「ディスカバー農山漁村(むら)の宝」にも選定されました。これは、農山漁村が持つポテンシャルを活かして地域活性化・所得向上を目指している優良な事例を表彰するもので、今回「かごしま深海魚研究会」を含めた3つの地区が選ばれました。
「うんまか深海魚」って?
「うんまか深海魚」とは、生息水深帯が200mを超える魚介類で、鹿児島の海で漁獲された美味しい深海魚のこと。たくさんの未利用魚も含まれます。現在「かごしま深海魚研究会」では、この「うんまか深海魚」を普及させる活動を行っています。
例えば、鹿児島湾で獲れるナミクダヒゲエビやヒメアマエビ。これらはいずれも「うんまか深海魚」で、身の甘さと頭部の旨味が魅力です。
またマルヒウチダイやボウズコンニャクは、市場に出回ることこそ無いものの、高級魚にも匹敵するような旨味の強い魚ですし、脂乗りも最高。
料理店やスーパーマーケットなど、「うんまか深海魚」を取り扱うお店では、「鹿児島のうんまか深海魚ございます」というポスターやのぼりが出ているので、ぜひ探してみてくださいね。
↓うんまか深海魚について詳しく知りたい方はこちら!
深海魚=ヘンテコ生物じゃない!!
いかがでしたか?テレビなどの偏った放送で「深海魚はグロテスク。食べ物じゃない」といった印象を持っていた人も多いと思いますが、実は深海は美味しい魚が多く生息している、まさに宝の山!鹿児島では、徐々に「うんまか深海魚」を提供しているお店も増えているんですよ。今や新しい鹿児島名物の一つになっているので、訪れた際にはぜひトライしてみてくださいね。
協力:かごしま深海魚研究会
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