ピルピルとは?アヒージョとはどう違うの?スパニッシュRICAちゃんが解説!

スペインに伝わる伝統食・ピルピル。アヒージョ同様、オリーブオイルとにんにくを主な材料とし、油で煮込む料理です。材料は全く同じですが、一体どんな違いがあるのでしょうか?

この記事では、スペイン料理に関する本を出版しているスパニッシュRICAちゃんが、ピルピルの魅力やアヒージョとの違いについて解説していきます。

そもそもピルピルとは?

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ピルピル(pil-pil)とは、スペイン北東部とフランスにまたがるバスク地方で生まれた伝統食。アヒージョ同様、にんにくと唐辛子、具材をオリーブオイルで煮た料理です。

ピルピルを作るうえでの最大の特徴は、なんといっても「乳化」という工程を挟むことにあります。乳化とは、本来混ざり合うことがないものが、何らかの要因で均一に混ざり合っている状態のこと。身近なものだと、水と油を混ぜ合わせて作るマヨネーズがこれに当たります。

ピルピルの場合、乳化にはゼラチン質の食材が必須。そのため、主に干したタラやメルルーサといったゼラチン質の豊富な魚が使われます。日本で作る時には、皮目部分の多いタラで代用できますよ。

ピルピルはどうやって乳化させるの?

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乳化の方法はお店によってさまざまで、ピルピルを入れた鍋と器を両手に持ち、鍋から器へ、器から鍋へを繰り返して乳化させているところもあれば、鍋をゆすることで乳化するところもあります。こうした作業が力仕事を連想させるためか、バスク地方の場合、家でピルピルを作るのは男性が多い傾向にあります。

ちなみに、ピルピルという名前もこの乳化が由来。乳化により、気泡から出る音が「ピルピル」と聞こえることからそう呼ぶようになったと言われています。

アヒージョとの違いを解説!

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アヒージョとの最大の違いは、なんといっても“乳化”の有無にあります。ピルピルは乳化をすることで、アヒージョには無いとろりとした口当たりになるのが特徴。乳化にはゼラチン質が欠かせないため、ピルピルよりもアヒージョのほうがアレンジの幅が広いというもの、両者の違いの一つでしょう。

また、アヒージョが煮え立った状態かつ、カスエラ(耐熱容器)に入ったまま提供されるのに対して、ピルピルはお皿に移し替えられるなど、提供方法も異なります。

ピルピルの最大の特徴は「乳化」!トロリとした食感が特徴

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アヒージョと同じ材料でありながらも、アヒージョには見られない乳化という工程を加えることで、全く異なる料理として成立しているピルピル。オリーブオイルと魚の出汁で作られたとろみは、慣れていない人には少し重め。そのため、日本では軽めにアレンジする傾向にあります。アヒージョ同様、少ない材料で作れる料理なので、ぜひ試してみてはいかがでしょうか。

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※「改訂版 アヒージョ!アヒージョ!」に掲載した内容を再編集しています