握りずしはいつから始まった?その歴史をすしマニアが解説

みんなが大好きなすしといえば、真っ先に浮かぶのが「握りずし」。実はその歴史は意外と浅く、江戸時代に生まれたものなのです。

ここではすしに関する本を多く出版してきたすしマニア編集部が握りずしの歴史について解説していきます。すしに詳しくなりたい人におすすめ!

握りずしが流行していたのは江戸時代後期

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握りずしを誰がいつ発明したのかははっきりしていません。様々な説があり、それらを合わせると、文政年間(1818〜1830年)に江戸で誰かが思いついたようです。文政10年(1827年)刊の『柳多留』に握りずしを紹介した最も古いと思われるこんな句があります。

妖術という身で握るすしの飯

妖術使いがドロンドロンと印を結ぶ仕事が、すしを握る手つきによく似ているという意味ですが、句に詠まれるほど握りずしが流行していたようです。

関西流の押しずしが、握りずし開発のヒントに?

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握りずしが登場するまで、江戸で食べられていたものは関西流の押しずしでした。これを屋台の店で売る様子が絵として残っています。

絵が描かれたのは天明6年(1786)。文政年間が始まる30年前。その屋台は現在の東京・日本橋通り、当時の通り町にありました。押しずしを切って並べてあるのを、銭湯帰りらしい客が注文しています。この切り分けた押しずしをヒントに、すし飯に魚の切り身を載せて手で握っていました。それが握りずしの始まりではないか……

とこれは想像の域ではありますが。

人気和食ファミリーチェーンで知られる「花屋與兵衛」がルーツという説も

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また、こんな説も。花屋與兵衛という人物が苦労した後、両国回向院前に「與兵衛ずし」という小さな店を開きました。與兵衛は1799年の生まれというから文政年間の話です。この店が当たって、その繁盛ぶりが次のような狂歌に残されています。

こみあひて 待ちくたびれる與兵衛鮓 客ももろ手を握りたりけり

「握りたり」とは握りずしと言葉を掛けているようだから、これは握りずしのことでしょう。

実は握りずしのルーツは諸説ある

様々な説がありますが、共通しているのが握りすしは江戸時代に生まれたということ。江戸の庶民に愛された味が世界でも愛されていると考えると感慨深いですね。

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※「食の雑学達人になる本」に掲載した内容を再編集しています