コーヒーの精製方法はどんなものがある?5つの精製方法をカフェマニアがご紹介

コーヒーの果実からコーヒー豆を取り出すことを精製と呼びます。例えば、ウォッシュト、セミウォッシュト、 ナチュラル、スマトラ式などが有名。

ここではカフェやコーヒーに関する本を多く出版してきたカフェマニア編集部がコーヒーの精製法とその違いを解説。もっとコーヒーについて詳しくなりたい人におすすめ!

ウォッシュト

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水洗式加工のことをウォッシュトといいます。コーヒー精製の基本ではありますが、ウォッシュトの精製法にも、その過程で違いがあったりします。

■精製過程
1、コーヒーの果実の水洗い
2、水槽に果実を浸します。浮かぶもの(小粒果実 、未熟果実 、病害虫 により果実の中身が減ったもの、木片などの異物)は除きます。熟した果実は水に沈むので、それをスクリーンを通すことで果肉を除去。なお、 ブラジルでは、樹上で完熟して乾燥が始まった実をボイアと呼びます。ボイアは水に浮くので、それはナチュラルで精製。
3、発酵槽に移してコーヒー豆に付着している粘着物や残存果肉を除きます。
4、乾燥
5、脱穀してパーチメントを除いて生豆を取り出します。
6、選別機で混入している不純物を除きます。

■問題点
水洗処理する水に微生物が発生し、それがコーヒー生豆に影響を与え、 風味に悪影響を及ぼすことがあります。

セミウォッシュト

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ウォッシュトの工程の水洗選別過程と発酵槽の処理を行わない精選法がセミウォッシュト。果肉を除去しながら未成熟実を選別する機械にかけたのち、天日干しします。ウォッシュトの過程での発酵過程での品質劣化を防ぐのと、欠点豆の混入を減らす利点から、ブラジルで主に採用されています。

■問題点
一回に精製するコーヒー果実の量が制限されるのと、精製のために多くの水量を確保しなければならないので、精製コストがかかります。

ナチュラル

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収穫したコーヒーの果実を天日乾燥させてから脱穀してコーヒー生豆を取り出す精選方法をナチュラルと呼びます。

■精製過程
1、収穫したコーヒーの果実をただちに、コンクリート上、ネット上などに広げて自然乾燥。
2、上のほうと下のほうでは乾燥スピードが違うので、コンクリートの上なら日に5〜6回混ぜ合わせる作業をします。ネット上で干す場合も日に2~3回混ぜます。コンクリート上での乾燥には7~10日程度必要。乾燥させるのは、果実の水分含有量が20%以下になるまで。
3、乾燥させた外果皮を脱穀機で取り除きます。
4、取り出した生豆を乾燥させて水分含有量を12%前後にします。

■問題点
天日乾燥の間に雨が降ると、それにより果肉が発酵したり、カビの発生の原因になることも。これがコーヒーの香味に影響します。

スマトラ式

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スマトラ式は湿式脱殻、半水洗式、半乾燥式などの呼び名があります。乾燥の前に「予備乾燥」という段階があるのが特徴です。

■精製過程
1、収穫
2、パルピング(果実の皮を剥がすこと)
3、パーチメント(内果皮)にぬるぬるの粘着物(ミューシレージ)が付着したまま発酵層へ
4、発酵の後、ミューシレージリムーバーにて粘着物を除去。パティオで2〜3日パーチメントを乾燥 (予備乾燥)します。パーチメントを脱穀。
5、生豆の水分量が17~20%になるまで乾燥 (本乾燥)

雨期のあるインドネシアで乾燥期間を短縮するため、天日干しする期間を短くするこの方法をしたと言われます。近年は、予備乾燥の部分を機械で乾燥する工場もで。この精製方法により、酸味が穏やかで、独特の香りと余韻、そして濃厚なコクが生まれると言われます。

ハニープロセス

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コーヒーの実を摘んで、その果肉を除去し、ミューシレージ(殻に付いたヌルヌル)を残したまま乾燥させる精製方法はパルプドナチュラルと呼ばれていて、ブラジルでよく採用されています。ハニープロセスの精製法はパルプドナチュラルとほぼ同じですが、より果肉を残す傾向が強いので、より甘くて複雑な味わいを楽しむことができます。

完熟の実のぬめりを残すのはブラックハニー、完熟の前の実のぬめりを100%残すのがレッドハニー、半分だけぬめりを残すのがイエローハニー、少しだけぬめりを残すのがホワイトハニーです。

コーヒーの精製法で味も変わる!

コーヒー産地ごとに、その栽培環境に合わせた精製法が選択されています。精製方法ごとに、コーヒーの仕上がりに特徴があり、近年ではコーヒーの付加価値を高 めるために伝統のやり方をやめて新しい精製法を取り入れる産地も。

精製の方法が変わると、コーヒーの香味に大きく影響するとされるので、焙煎においては、そのコーヒーの精製法は必ず確認しておきましょう。

※画像はイメージです
※「コーヒー焙煎用語ブック」に掲載した内容を再編集しています