天丼の歴史とは?その成り立ちをフードマニア編集部が解説

その満腹感から、世代を超えて根強い人気を誇る天丼。席に座ってゆっくりと味わうイメージのある天丼ですが、初めは時間短縮として手早く食べるために編み出された料理でした。

ここでは和食に関する本を出版しているフードマニア編集部が、天丼の歴史を解説していきます!

天丼が誕生したのは江戸時代後期!露天商が生み出した料理

画像素材:写真AC

江戸時代、年代や身分を問わずさまざまな人から愛されていた天ぷら。もともと手軽に食べられることがメリットの屋台で出されていた料理ということもあり、お客の多くは時間に余裕がない人や、お店を開けてきている露天商だったとされています。

急いでいる人はもちろんのこと、店員が自分一人しかいない露天商にとっても、店から長く離れているのは不用心なもの。江戸時代後期には、より短時間で効率的に食事をとる方法が試行錯誤されていました。その結果編み出されたのが、天ぷらをご飯に載せて、その上から天つゆをかけるという食事形式だったのです。

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これを受け、ご飯にかける用に濃い味付けの天つゆも用意されるように。風味豊かな天つゆがさらに食欲をそそり、あっという間に庶民に普及していきました。こうして出来上がったのが、現在食べられている天丼だとされています。

その後、長らく江戸の名物だった天丼でしたが、1923年に起きた関東大震災により、家や職を失い里帰りする人が続出。その後、故郷で天丼を再現したことで全国へ普及し、丼物の定番メニューになったのです。

座敷型天丼の発祥は諸説あり!

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もともと屋台で出されていた天丼。誕生当初から高い知名度を誇っていた料理ですが、実はいつから屋内で天丼が食べられるようになったのか、発祥はどこなのかは定かではありません。

ただ、天丼発祥の地として有力なものの一つに、浅草にある老舗の和食店『三定(さんさだ)』があげられます。1837年に創業されたこちらのお店は、今では珍しい江戸前天ぷら(ゴマ油で揚げた天ぷら)を食べられるのが特徴。他にも天丼発祥の地と称されているお店はいくつかあるので、興味のある方は訪ねてみてはいかがでしょうか。

天丼は江戸時代後期に誕生!もともとは短時間で食事を済ませるための料理だった

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江戸時代の後期、手早く食事を済ませるために考案された天丼。関東大震災以前は、江戸の名物料理としてふるまわれていました。その後、故郷に戻った人々が天丼を再現し、全国に普及させたことで、現在のような丼物の人気メニューになったのです。

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※「「食」の雑学達人になる本」に掲載した内容を再編集しています