ラーメン屋の本格スープの作り方とは?鶏ガラから豚骨までラーメンマニアが解説

名店と呼ばれる店、流行っている店には、評判になるだけの味づくりの秘訣が必ずあります。スープ作りのためには、ほんの僅かな点も疎かにしていません。

ここではラーメンに関する本を多く出版してきたラーメンマニア編集部が名店のスープの作り方を解説していきます。ラーメンに詳しくなりたい人におすすめ!

豚骨、鶏ガラが一般?味を見極めた細心の材料づかいが、旨いスープを作る!

画像素材:写真AC

スープを取るための主材料は、豚骨、鶏ガラが一般的でありますが、店によっては煮干しやカツオ節を使うところも。それぞれの材料の持つ味の特色を活かすことが、個性的でおいしいスープを取るコツ。ここでは、ラーメン名人が行なっている、おいしいスープの取り方のコツを紹介していきましょう。

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■豚骨
一般に豚骨スープという場合、「ゲンコツ」と呼ばれる豚の大腿骨で取るスープがほとんど。大腿骨は他の部位に比べ、骨髄が多くつまっているため、スープにコクを出しやすいというのが特徴です。

使うときは、ゲンコツを金槌で叩いて割り、旨みが出やすくするのがコツ。そのままだと、中身が詰まっているので熱が通りにくく、旨味の抽出に時間がかかっていまいます。豚骨の場合、足だけでなく、「頭」も使う店も。頭についている肉や脳の髄から出る独特の旨味が、スープをおいしくするのです。

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■鶏ガラ
鶏ガラは豚骨と一緒に使うことが多いですね。豚骨とミックスすると、スープに旨味が増します。鶏で取ったスープは、あっさり味に仕上がりますが、鶏ガラだけでは、コクという点でやや劣ります。そこで鶏ガラと一緒に、鶏頭や「モミジ」と呼ばれる足首から下の部分を使うのがポイントに。

最近では多くの名人が、「昔の鶏ガラにはうま味があったが、今のブロイラーではうま味が出ない」といいます。その言葉の通り、最近では鶏ガラだけでスープを取る店は少なくなってきました。さらに旨みを足したいというところでは、肉のついた丸鶏のままでスープを取る人も。また、鶏はひな鶏よりも廃鶏を使う方が、ダシがよく取れるといいます。

スープの甘味や香りを出し、肉の臭みを消すために、野菜を使う

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スープに使われる野菜は、人参、玉ねぎ、長ねぎ、生姜、二ンニク、キャベツ、じゃが芋、といったものが多い傾向に。洋食でスープを取るときは、味をよくするために「香味野菜」が使われますが、ラーメンの場合は風味を付けるという働きより、どちらかというと、肉の臭みを消す役割で野菜を使うケースが多いですね。

まず、玉ねぎ、人参やじゃが芋は、「甘味」を出すためにいい働きをしますが、それ以外にも、玉ねぎには臭い消しの働きもあります。生姜や長ねぎは、材料の臭みを消すと共に、いい香りと旨味を出すので、ほとんどの店で使われているベーシックな野菜といえるでしょう。ニンニクは、材料の臭みを取り除き、独特の旨みを加える働きがありますが、入れすぎに注意。

コクと旨みを出すために、スープの中に豚脂を入れる

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コクや旨みに、脂は欠かせません。マグロのトロでも、牛肉の霜降りでも、適度に入っている脂身が、旨味を左右します。同じことがラーメンにも当てはまり、旨味やコクを出すため、多くの店では脂分をスープに加えます。一般には、豚の背脂を使う店が多いのですが、高価な腹脂を使用する名人も。また、コクと旨味を強めるため、背脂と腹脂をブレンドする名人もいます。

豚脂は、豚骨と一緒に煮出す場合と、別鍋で茹でておいた豚脂を、スープを作る鍋に移しかえて使う方法があります。それ以外では、溶かしたラードを、丼にスープと一緒に注ぐ名人も。これだと脂の量が加減できるので、個人の好みに合わせられるという利点があります。

アクは取り除く?前日の分は使う?隠し味には何を?

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スープの取り方や手順は、店によって実に千差万別。名人ともなると、おいしいスープの取り方の工夫は実に繊細、かつバラエティーに富んでいます。だから、店ごとでその方法は、多岐にわたり、甲乙つけがたい味の店同士でも、まったく正反対の考え方も。

例えば、アクはとった方がいいのか?それともとらない方がいいのか?アクは余分な成分だから、なるべくこまめにとる、というのが一般的なスープづくりのポイント。しかし反対に、「アクも、材料から出る旨みの一つなのだから、絶対にとってはいけない。他店が取るだけに、ここが味の特徴になる」という名人もいます。

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残ったスープの扱い方でも、正反対のやり方があります。「水から仕込んでは、スープにもう一つコクが出ない。前日のスープを1晚寝かせたものをベースにした方がコクが出る」という店も。

これに対し、前日分のスープは捨てて全く新しく作る、「古いスープを使うと、スープが濁る。あっさり味にするなら、水から仕込んだ方がいい」と主張する名人だっているのです。

変わったところでは、旨味を出すため、スープに日本酒を入れる店もあります。スープに酒というと違和感がありますが、味噌汁の隠し味に酒を加える例だってあるのです。要は工夫ですね。

ラーメンのスープは名人の作り方によって大きく異なる!

豚骨、鶏ガラで取ったスープでは、どうしても洋風の味になりがち。この点が気になる店では、カツオ類、煮干し、昆布などの和風材料も使い、日本人が好む味づくりを心がけています。

名人に共通しているのは、従来のラーメンの味を基本とし、個性的な独自の味づくりを心がけるアイデアにあるのです。

※画像はイメージです
※MOOK「料理と食シリーズNo.1 ラーメン」に掲載した内容を再編集しています