『麺屋武蔵』の超高級ラーメンシリーズ!「金乃武蔵」をラーメンマニアが解説

創業以来「革新的で上質」を追求してきた『麺屋武蔵』。創業20周年に「今一度、ラーメンの新しい扉を開ける革新的で上質な一杯提供したい」ことから2016年1月から始まったのが「金乃武蔵」。

これは新創作ラーメンを提供する企画で、ラーメンの固定観念にとらわれず、高級食材も惜しみなく使用した『麺屋武蔵』の世界が楽しめるシリーズです。今回は、その「金乃武蔵」でも個性的な5杯をご紹介!

「金乃武蔵」とは?

「金乃武蔵」で提供されるすべてのメニューは黄金の丼を使用

「金乃武蔵」とは、1996年の『麺屋武蔵』の創業20周年の際に、気持ちも新たに「今一度、ラーメンの新しい扉を開ける革新的で上質な一杯提供したい」ことから始まった企画です。ラーメンの固定観念にとらわれず、イマジネーションを働かせ、大胆で自由な発想で取り組むというもの。

「ラーメンの可能性に挑戦する」ことが第一の企画意義で、原価にとらわれずに提供したものも数々。また、琉球王国の時代から高級食材として宮廷に納められていたイラブー(海蛇)を主役にしたり、縄文・弥生時代から日本人のタンパク源としていた鯨肉を主役にしたり、日本の食文化の伝統も「金乃武蔵」では大切にしています。

葱飾ら〜麺/創始 麺屋武蔵

本鮪のさまざまな部位を使用したラーメン

「金乃武蔵」の第一作。 新年の始まりに提供するということで、初競りで話題になる鮪を主役に発想。旨味が増した葱と鮪を合わせる、江戸の冬のご馳走「ねぎま鍋」の、その感動ものの美味しさをラーメンで具現化したいと考案したもの。

鮪は「築地鈴富」さんから天然の本鮪を仕入れて使用。葱は料亭でも使われる「千寿葱」を選び、朝一番で買い付けたもの。鮪の骨をオーブンで焼いてスープを取り、脳天という鮪1匹から2本しか採れない部位もスープに使っています。

大トロが4枚ものった豪華なトッピング

麺は全粒粉入りのものを合わせて、麺と同じ太さに千寿葱を切って一緒に茄でて葱麺に。大トロを2枚は出汁醤油で半生に火入れし、2枚は昆布出汁で漬けてトッピング。千寿葱の芯に中トロを詰めて焼いたもの、著休めの山芋の山葵漬けも盛り付けていました。

■葱飾ら〜麺
販売期間:2016年1月21日〜24日
販売店:創始 麺屋武蔵

頼祭 酒芳る河豚ら〜麺/麺屋武蔵 鷹虎

スープには虎河豚を使用

日本酒のトップブランド「瀬祭」とコラボした金乃武蔵の第二弾。「瀬祭磨き 二割三分遠心分離」という、瀬祭オリジナルの遠心分離機で酒を絞る方式から取れる酒粕を使った一品。従来の酒袋に圧力をかけて搾る方式と違い、圧力をかけていないので、より香りがふくよかな酒粕が取れるのです。それに名産の河豚をスープに合わせたもの。

スープは水と昆布と河豚のみで取っています。香味野菜などは使わず、河豚の旨味の最大値を見逃さないように、低温で慎重にじっくりとスープを取り、瀬祭の酒粕も、その芳醇な香りを消さないよう、提供する直前にスープと合わせたもの。

白子の酒粕漬けがトッピングとなっています

麺は、歯切れのいい細ストレート麺。「栄ふ」さんから仕入れた極上の白子を類祭の酒粕漬けにし、低温で火入れして最後は灸って盛り付けたもの。そのまま食べて濃厚な旨味と酒粕の香りを楽しむのはもちろん、スープに白子を溶かしても味わうものでした。

■頼祭 酒芳る河豚ら〜麺
販売期間:2016年2月25日〜28日
販売店:麺屋武蔵 鷹虎

金乃[こしょう]ら〜麺/麺屋武蔵 虎晴

コショウダイをまるごと使用してスープを作るという豪華な内容

歴史の中で「食」は、「文化」や「遊び」から発展してきた側面もあるので、「言葉遊びでラーメンを発想する」ことをテーマに。東京・六本木の「麺屋武蔵 虎嚇(こしょう)」の店名に合わせ、「胡椒」に焦点を。中世ヨーロッパでは、胡椒は金と交換されるほど価値があったということから、「金」と「胡椒」にちなんだ構成でラーメンを仕上げたもの。

スープは、3月が旬の金目鯛、コショウダイを一夜干しにして炊いたもの。麺には金柑の皮を練り込んでいます。脂ののった魚のスープに金柑の香りはよく合うとのこと。

奥にある鯛型のご飯は金目鯛のスープで炊いたもの

山形県尾花沢産・霜降り和牛のイチボを自家製胡椒ダレに漬けて低温調理したローストビーフをトッピングに。スナップえんどうは、豆を出して生胡椒を入れた「遊び」の味付けも。

カンボジアやマダガスカル、インドネシアなどの5種類の胡椒をブレンドしたものを味変用に用意し、金目鋼のスープで炊いたご飯を鯛の形に焼いて添えていました。

■金乃[こしょう]ら〜麺
販売期間:2016年3月19日〜22日
販売店:麺屋武蔵 虎晴

フォアグら〜麺/麺屋武蔵 神山

これはチャッチャ用の不ペイン産フォアグラ

世界三大珍味の一つ、フォアグラに着目した一品。フォアグラをトッピングにするだけではありきたりなので、「金乃武蔵」で着目したのは、フォアグラの「油分」。 ラーメンでは従来、いろいろな香味油が使われていますが、その中の「背脂チャッチャ」をフォアグラで表現することを考案。

合鴨のフォアグラを使用するので、スープは、鴨の出汁に。鴨ガラでスープを取り、そのスープに鴨ガラを足して炊き、さらに鴨モモ肉のミンチを加えて炊いて、透明感がありながら力強い鴨スープにしてフォアグラの脂に負けない仕上がりにしてます。

トッピングのフォアグラはハンガリー産のものを使用

フォアグラはスペイン産をテリーヌにして背脂チャッチャ用にし、ハンガリー産はフライパンで焼いてトッピングに。産地別の長所を活かして調理。鴨ムネ肉をフォアグラ脂でじっくりコンフィにしたものも盛り付けます。

■フォアグら〜麺
販売期間:2016年10月27日〜30日
販売店:麺屋武蔵 神山

上海蟹つけ麺/麺屋武蔵 蒲田店

スープは水と上海蟹だけで作るという贅沢さ

11〜12月だけ食べられる上海蟹を資沢に使って「金乃武蔵」に。活けの雄の上海蟹のみを使い、1杯で上海蟹は5匹も使います。

スープは水と上海蟹のみで取ったもの。鮮度のいい上海蟹なので、香味野菜も不要。蟹味噌を油で生麦などと妙めたものをつけ汁で合わせ、味付けは塩のみ。つけ汁には、紹興酒漬けしたフカヒレも合わせています。

上海蟹の甲羅に入ったチャーハンがセットに

麺は、麺屋武蔵特製 包丁切り麺。あつ盛にし、紹興酒とみりんを沸かしたものをかけ、麺の保温と風味付けを。上海蟹のつけ汁に麺を浸しても、つけ汁の温度が下がらず、風味よく味わえます。

上海蟹の身肉を使って妙飯を作り、甲羅に入れてオーブンで焼いたものも添えています。そのまま食べて、さらにスープに入れて楽しめるものだったとのこと。

■上海蟹つけ麺
販売期間:2017年11月25日~26日
販売店:麺屋武蔵 蒲田店

「金乃武蔵」はまだまだある!

ラーメン業界に数々の新風を巻き起こしてきた『麺屋武蔵』。『麺屋武蔵』は、現在、都内だけに14店舗もあります。不定期ではあるものの、それぞれの店舗に「金乃武蔵」シリーズがあり、どれも独創的。

『麺屋武蔵 抽象と捨象のラーメン調理法』では、14店舗それぞれのスープ、タレ、香味油、具材の作り方を工程写真とともに紹介。「金乃武蔵」だけでも12品をレシピ付きで詳しく解説しているので、『麺屋武蔵』ファンならぜひチェックしてみてくださいね!

※「麺屋武蔵 抽象と捨象のラーメン調理法」に掲載した内容を再編集しています