牛スジだけでない!バリエーションが広がる「肉おでん」【おでん料理②】

おでんだしで煮込むことで味が染み、柔らかくなった牛スジは、旨みがあって人気の高いおでんダネの一つです。関東では「スジ」と言えば、サメのすり身を使った練り物が一般的ですが、中部・関西・九州地方ではこの「牛スジ」のことを指し、おでんダネには地域性があることもおでんの魅力になっています。

従来のおでんでは、肉を使ったおでんと言うと「牛スジ」の他、コンビニでも人気の「ロールキャベツ」や「ウインナー巻き」などが思いつきますが、新しい味づくりに挑戦するお店では、「肉おでん」のバリエーションが広がっています。例えば、もつ鍋やしゃぶしゃぶ、蕎麦の鳥南蛮など、多業種の料理から発想し、アレンジした「肉おでん」があります。

また、前回の記事で紹介しましたが、肉は食材自体からだしが出るため、おでん鍋に入れておくとおでんだしの味が変わってしまいます。そこで考案されたのが注文ごとに食材をおでんだしで温めて提供するスタイルです。こうすることでおでんだしに肉の旨味も加わり、「肉おでん」ならではのおいしさが楽しめます。

牛スジだけでない!バリエーションが広がる「肉おでん」の一部を紹介します。

茹でタン/おでん都

牛タン専門店で食べた「茹でタン」をヒントに開発した同店の名物おでん。タンは豚タンを丸ごと一本使用し、白だしと水を合わせた煮汁で調味します。一皿にタン先、タン中、タン元をバランスよく入れ、タンの部位ごとのおいしさを楽しめます。おでんだしをかけ、味を引き締める黒胡椒をかけて提供。好みでワサビをつけて食べます。

山武ジャージー牛もつ/さかなとおでん うおべぇ

「肉おでん」のバリエーションとして定着しつつある、その一例が牛モツです。福岡のモツ鍋から発想して開発したおでんで、プリプリの牛小腸を主役にコチュジャンをイメージした自家製の生姜味噌で旨みをプラスしています。自家製味噌は季節で変わり、男性にはニンニク味噌が好評です。

地鶏と九条葱/おでんと釜飯 ムロ

京都の蕎麦店の定番で、鶏モモ肉とたっぷりの九条ネギを合わせるメニュー「とりなんばん」から発想して開発。京赤地鶏と九条ネギは存在感のある大きさにカットし、ボリュームある一品に仕立てています。

美人串/関西煮 理 OSAMU TOKYO

串に刺した豚足を使ったユニークな肉おでん。豚足は美容効果があるといわれるコラーゲンが豊富なことから、「美人串」とネーミング。女性客を中心に人気を集めています。下処理した豚足はほどよく柔らかくて臭みもなく、独特の食感が魅力に。おでんだしで味を含めたのち、塩・胡椒を直接かけて味を強めています。

しゅうまい/おでん割烹 牧

肉汁たっぷりの名物「しゅうまい」。皮から手作りし、豚の背脂をたっぷり加えた特製の餡を包んで冷凍。注文ごとに蒸してから、さっと温める程度におでん鍋に入れ、おでんだしの風味をまとわせて提供します。

次回は絶対的王者「大根おでん」について紹介します。


【参考図書】

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