おいしいカレールーの作り方とは?カレーマニアが解説

おいしいカレーのルーを作るにはどうしたらよいでしょうか?質のいい具材を使うことはもちろん、手順をしっかり守り、丁寧に調理することが大切です。

ここではカレーに関する本を多く出版してきたカレーマニア編集部がカレーのソース、各具材をおいしく仕上げるポイントを紹介します。カレーに詳しくなりたい人におすすめ!

カレーは一日置くとおいしくなる?

画像素材:写真AC

「カレーは1日置いたほうがおいしくなる」とはよく言われますが、なぜそう言われているのでしょうか?カレーには、小麦粉・スパイス・果物・野菜・肉類などいろいろな材料が入っています。時間が経つにつれ、具材から旨味がソースに溶け出し、ソースのうま味も具材に浸透。さらに、食品の特性として、時間を置くと味に特有の深みや丸み、香りが加わります。

これを食品の熟成といい、熟成により旨味が増すのはこの作用のためと考えられます。

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他には、油の特性によることも考えられます。油脂の性質がソースのうま味を決めるとも言っていいほど、カレーには油脂が多いです。作りたてのカレーは、油の粒が大きく不ぞろいな状態。時間を置くことにより、油の粒が小さくなり、他のカレーソースの材料(スパイスや小麦粉など)にうまくなじみます。また、油の粒が小さくなることによって、人間の舌は繊細な味を感じやすくなるのです。

このような理由からも、最低でも一晩はソースを寝かせている店が多い傾向に。おいしく熟成させるには、熟成中は再加熱せずに、温度の低いところで保存状態を保ちそのまま寝かせるようにします。提供時にはもちろん加熱しますが、闇雲に煮る時間を増やせばいいというわけではありません。

インド・アジアンカレーは短時間で作るのが好ましい?

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欧風カレーとは違って、インドカレーには熟成が当てはまらない場合が多くあります。なぜなら、インドカレー、アジアンカレーは、なんと言ってもスパイスのフレッシュな香りがおいしさの秘訣。

しかし、時間を置いたインドカレーと、作りたてのインドカレーではスパイスの存在感がまったく違うとはいえ、「それでも結局は好み」という店主も。翌日のインドカレーは味が丸くなり、それはそれで好きだというお客も多いとか。

バターを入れる?それともヨーグルト?油脂によって感じるうま味

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具材やスパイスに次いでカレー作りに大切なのは、油脂です。人間の舌は、油を感じることにより、うま味、コクを感じます。使う油にこだわるのはもちろん、油脂をもっともおいしいと感じる状態にするには、油脂を乳化させることが必要です。

乳化とは、水分と油脂が結合した状態。味覚に訴えるには、水に油が溶けた状態にする必要があります。反対に油に水が溶けた状態もあり、これも乳化といいますが、おいしさには結びつきません。

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ヨーグルトやココナッツミルクは水に油が溶けた状態なので、でき上がりに入れてもカレーの風味を損ないません。バターやマーガリンは、油が水に溶けた状態のため、でき上がりに加えると、スパイスのうま味を十分にひき出せないことがあるので注意。

また、カレーには1人前おおよそ総量の10%の多くの油を使います。油脂とその他の材料とのバランスを考え、使う油を選ぶことも大切。マスタードオイルを使い、深みのある辛みを出す、癖のない白絞油を使い具材やスパイスの味を際立たせるなど、お店により独自のこだわりを持つ店も多くあります。

味を決める“飴色玉ねぎ”

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多くのカレー屋の店主がこだわっているのが、玉ねぎ。最近は家庭でも使われるようになった飴色の玉ねぎは、油脂と野菜の水分をうまく乳化させたもので、しっかり煮詰めることにより、よりうま味が凝縮します。

玉ねぎを大量に仕込んでいる人気店も、3~4時間ほどかけて総量の50%以下までに煮詰めています。焦げないようにずっと鍋についていなければいけないので結構な重労働ですが、この作業がおいしさの肝。しっかり作りたいものです。

肉の具材をおいしくするに?

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肉類はオーブンやグリルで、焼き色をつけて肉のうま味を引き出してからソースに投入することが多く、フライパンやバットに残った肉汁もソースに加えると、より味に深みが増します。生のままでソースに入れて煮込むと、アクが出てしまい全体の味を損なってしまいます。さらに肉自体に含んでいる水分も外に出てしまい、うま味が出にくいです。

しかし、カレーの種類によって作り方は様々で、生の肉をそのままソースに入れて煮込む場合もあります。主にインドカレー店でそういったやり方があり、初めからソースに加えるほうが、肉にもスパイスが移り全体の味もまとまりやすいとのこと。

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牛肉や豚肉は、バラ肉を使うと脂が多すぎてソースになじみにくいので避けたいものです。バラ肉を使う場合は、角煮にするなど別調理をして、仕上げにトッピングとして乗せる方法や、鶏肉のホロホロした食感を出すには、表面を焼き上げしっかり煮込むことです。煮る時間を惜しまないのは、カレー作りのコツのひとつ。

一方焼き上げの香ばしさを出すために、鶏肉はあまり煮こまず、温めたソースと合わせるだけという店もあります。

魚の具材をおいしくするには?

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カレーによく使われる魚介類は、エビ・ホタテ・バイ貝・牡蛎・イカ・タコ・鮭・カニなど。魚介類は肉のように長時間煮こむと硬くなり、生臭みが出てしまいます。そうならないように下調理をして、仕上げに加える程度に。ソースに入れる前に茹でたり、軽く焼き目をつけるように炒めたりすると、うま味が逃げ出しにくく、さらに生臭さを抑えられます。

エビのみそをソースに加える場合も、みそを先に加えて煮こみます。エビの身は取り出しておき、下調理をしてから仕上げに加えましょう。

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青魚を使う場合は、スパイスをまぶして素揚げしておきます。とくに丸ごと1匹や、魚頭を使う場合は、一度素揚げすると魚の形も崩れないのでおすすめです。生のまま魚の身を入れて調理する場合は、硬くなってパサついてしまうのでスピードが大切。

また、魚のカレーの場合は、玉ねぎをうまく使う方法がおすすめ。玉ねぎを薄切りなど形の残る切り方にすると、魚と一緒に煮た場合、玉ねぎの水分で魚が軟らかくふっくら仕上がります。

野菜・豆の具材をおいしくするには?

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カレーには、ほぼどんな野菜でもよく合います。よく使われる人参、じゃがいも、なすなどのほか、きゅうりや里芋、くわいや栗なども意外にカレーに合うので、いろいろな野菜を試して、オリジナルの味に挑戦してみましょう。

具材として野菜を味わうには、素材の持つ甘みをよく引き出すことが大切。そのためには、一度炒めてから使用することです。きゅうりなど青臭さの目立つものは、ベーコンと合わせて炒め、里芋やクワイ、栗などは素揚げしてから煮込むとよいでしょう。

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きのこ類は味が淡白なので、少し焦げ目がつくように炒めて香ばしさを出します。炒めてフライパンに出たエキスはうま味なので、ソースに混ぜて使いましょう。

豆類も最近のヘルシー志向に伴い、人気のカレー。豆のカレーはベジタリアンの多いインドでは定番メニューです。よく使われるのはひよこ豆やレンズ豆で、仕込みは豆の総量の2倍以上の水に前日から浸して戻しておきます。このとき、スパイス(シナモン、ベイリーフなど)を一緒に浸すと、よりおいしくなります。煮る際に豆から出るあくは、煮込むほどに抜けていくため取り除かなくてもOK。

カレーのルーをおいしくするポイントは“丁寧“に作ること

ルーや具材、調理法……こだわればこだわるほどおいしくなるのがカレー。予算や調理時間に制限はあるかもしれませんが、おいしくするポイントはたくさんあるので、可能な限りこだわって作ってみてくださいね。

※画像はイメージです
※「カレー大全」に掲載した内容を再編集しています