世界の紅茶巡り!カフェマニアが各国・地域の紅茶をご紹介

紅茶は世界の幅広い地域で飲まれています。それぞれどういう楽しみ方をしているのでしょうか?

ここではカフェや紅茶に関する本を多く出版してきたカフェマニア編集部が世界各地の紅茶の飲み方について解説。紅茶について詳しくなりたい人におすすめ!

紅茶は世界でどれくらい飲まれている?

画像素材:写真AC

紅茶はコーヒーとともに、人類が発明した優れた嗜好飲料です。どちらも喉の渇きを癒やすだけでなく、コミュニケーションの手段や心に潤いをもたらす飲み物として世界中で親しまれています。現在、紅茶の生産量は約200万トン。緑茶やウーロン茶などを含めたお茶の総生産量が約250万トンですから、紅茶だけでなんと8割も占めているというから驚きですね。

それでは、それぞれの国の紅茶とその飲み方を見ていきましょう。

イギリス

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紅茶は、コーヒーに比べてエレガントなイメージがありますが、このイメージを私たち日本人に強く植え付けたののは、紅茶王国のイギリスでしょう。

イギリスでの紅茶の飲み方は、ポットにたっぷり紅茶を入れて、ミルクとともに味わうものです。ミルクを先に入れるか、後で加えるかで論争があるのは有名な話ですが、イギリスでは紅茶の香りや味にこだわるだけでなく、器具や容器、飲みながら一緒に食べるもの、時や場所に応じたふさわしい飲み方にいたるまでこだわって、洗練の極みともいうべき紅茶文化を長い年月のうちに培ってきました。

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ライフスタイルも紅茶とともにあって、目覚めたときのアーリー・モーニング・ティー(ベッド・ティー)に始まり、寝る前のアフター・ディナー・ティーにいたるまでとティータイムが中心の生活です。日本では、イギリスの紅茶というとアフタヌーン・ティーがよく知られていま すが、これは社交を目的としたお茶会のこと。お茶と一緒にサンドイッチやスコ ーン、ケーキなどを楽しむものです。

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イギリスの紅茶のマナーは厳しく、高級ホテルのアフタヌーン・ティーとなると、ゆったりとくつろいで味わうには……と気後れしてしまいそうですが、実はその作法に関しては面白い話があります。

その昔、イギリスの上流階級に紅茶を飲む慣習が持ち込まれて作法が洗練されていったのは、日本の茶道の作法が手本となっていたという説があります。なんと織田信長の時代にポルトガルあたりの宣教師が、日本の茶と茶道の作法をヨーロッパに伝えたという説が。反対に茶道の袱紗(ふくさ)さばきは、神父や牧師が行う十字架の包みの包み方、とき方の手本が由来するというのですから、東西交流の不思議さと面白さが感じられますね。

インドと南アジア、アフリカ

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■インド
世界有数の紅茶の産出国であるインドでも、日常の飲み物は紅茶。インドでは紅茶はチャイといわれます。茶葉とミルクと砂糖とを鍋で煮出して作るシチュード・ティーが一般的で、シナモンやカルダモンなどのスパイス(マサラ)を加えたマサラ・チャイも好まれます。とはいえ、広大な国土のインドでは、地域差もあって、カシミール地方ではミント入りの緑茶のチャイが飲まれたり、南インドのようにコーヒーが好まれる地域もあったりと、地域によってさまざま。

■スリランカ
インドのお隣、スリランカも紅茶の名産地ですが、こちらでは紅茶は「テー」と呼ばれ、お湯でいれた紅茶にミルクを入れて飲む英国風のスタイルが基本です。

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■中近東
インドから西、パキスタン、アフガニスタン、イラン、トルコとどの国でも紅茶が主要飲料です。中近東はコ ーヒー発祥の地で、コーヒーを飲むことがありますが、日常では紅茶が愛飲されています。

■北アフリカ
北アフリカだと、モロッコ、チュニジアでも紅茶がよく飲まれていますが、この地方での飲み方はミントをたっぷり入れたものです。温かいお茶が主ですが、アイスティーが飲まれることも。

その他のエリア

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■ロシア
イギリスに肩を並べる紅茶好きの国といえばロシアです。冬の長いロシアではサモワール(給茶器と)にたっぷりのお湯を沸かしておいて、保存食のジャムと一緒に楽しむスタイル。体を温めるためにワインやウォッカを入れることもあるようです。

チェーホフの小説にはサモワールと紅茶がよく出てきますが、当時からロシア人にとって、紅茶は欠かすことのできない日常的な飲み物だったのでしょう。

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■南北アメリカ・オセアニア・東南アジア
他にも、イギリス連邦のニュージーランド、オーストラリア、カナダ、シンガポールなどでも紅茶は盛んに飲まれますし、南米ではチリがお茶飲みの国です。

また、コーヒー文化圏のアメリカですが、アイスティーを生み出したのはこの国といわれ、実際レモン入りのアイスティーが好まれています。

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■香港
アジアでも紅茶は飲まれますが、面白い飲み方としては、香港に鴛鴦茶(インヤンチャ)というものがあります。これは紅茶とコーヒーとをブレンドした不思議な紅茶メニュー。

日本では世界中の紅茶が味わえる!

最後に、日本人にとって紅茶とはどんな飲み物なのでしょうか。赤っぽい色のついたお湯にレモンかミルク、そして好みで砂糖を入れるものと思っている人もいれば、イギリス式のポットサービスの紅茶をイメージする人、あるいはインドのチャイこそ紅茶だという人、自動販売機などで買える缶飲料の紅茶を真っ先に思い浮かべる人と、かなりイメージが分かれそうですね。

紅茶専門店や喫茶店には楽しい紅茶メニューが多く並び、バリエーションという点では、日本が世界一でしょう。今後日本でも紅茶好きがさらに増えていくこと間違いなしですね。

※画像はイメージです
※「THE BOOK OF TEA」に掲載した内容を再編集しています