バーの接客にコツはある?バーテンダーに接客の心構えを聞いてみました
世の中にはさまざまな形態のバーがありますが、どのような接客をすればお客は喜ぶのでしょうか?
ここでは外食産業に長年携わってきたフードマニア編集部がオーセンティック・バーを取材し、人気バーのバーテンダーに接客の心構えをまとめました。これからバーを始める人や接客で悩んでいる人におすすめ!
— 目次 —
スタッフ全員が店のテーマを共有できることが重要
個性を活かしながらも、店のカラーを打ち出した接客を行うには、どうすればいいのでしょうか?
それは、あらかじめ明確に決めた「接客スタイル」のテーマを持つこと。このテーマがあれば、スタッフ間でそれに沿った「意識の共有」ができ、個性を含みつつも店全体で見れば統一感のある接客を行うことが可能になります。
これは、接客を行わないキッチンスタッフであっても同様。明確なテーマがあれば、グラスや皿の清潔さや盛り付けなどに、自然と反映されてくるもの。もちろん、テーマに沿った接客は、オーナー自身がいかに率先して実践できているかが重要であり、手本とならなければなりません。
そして、提供するカクテルや食事に対しては当然のことですが、その空間・時間を楽しんだ対価としても、お客からお金を頂戴するということを忘れないようにしたいですね。
評価される接客は、大きな武器に
「カクテルや料理がおいしい」「空間がおしゃれ」「店のスタッフの対応が心地いい」というように、味や空間と並んで接客も、お客から店が評価される項目のひとつだということを忘れないでほしいところ。非日常の空間を楽しませるバーの場合は、特にこのことは重要。
店の関係者以外から受ける評価は、いいものであればその声が積み重なることで店の強み=武器に変化します。接客でも高評価が多くなれば、それは立派な武器。評価を落とすことがないよう、より磨きをかけていきましょう。ほかにも、料理の味や仕事の丁寧さ、使用している食材の鮮度や豊富さ、低価格でお腹いっぱいになれるなど、店によって一番の柱となる武器は様々。
たったひとつの武器だけを大事にするのではなく、「鬼に金棒」の金棒を何本も持つことで、より強い店へと成長するのです。ただ、店の特徴や他店と明確な違いを打ち出そうとするあまり、「とにかく何かに特化しなくては!」と焦ってはいけません。意識しすぎるあまり、そこばかりにこだわってしまうと、自分たちが実際にお客に対してできることの本質を見失いかねないため、注意が必要です。
店のテーマはどのようにして決める?
バーにおいては、バーテンダーをはじめとするスタッフは「究極の裏方」であるべきで、主役はお客です。このことを念頭に置いたうえで、接客スタイルの軸となる「店のテーマ」を考える際、最も重要視したいのが、「お客をどう楽しませたいのか」ということ。
言い換えれば「もしも自分がお客として自身の店を訪れた場合、この店でどのように楽しみたいか」ということで、さらに裏を返せば「どんなお客(客層)に来てほしいのか」ということでもあります。
逆説的な考え方をして必要なものを見つめ直すことで、自身の店に適した接客スタイルも固まるはず。例えば、本格的なオーセンティック・バーならば、元気ハツラツな「いらっしゃいませ!」は必要なく、声のボリュームやトーンは聞き取りやすくも、やや抑え気味の方がしっくりきますね。片膝を付くほどかしこまらないにしても、適度にスマートなエスコートも必要。
お客の要望にできる限り応えられるような品揃えと、その商品に対する知識など、ひとつひとつクリアしていけば良いのです。
バーの接客とカフェの接客の違いは?
数ある飲食店のジャンルのなかでも、ひとり客の比率が他の業種と比べると高めで、提供メニューもドリンクが主体になることが多いジャンルの代表格が、バーとカフェ。
そこで、似た営業形態でも接客スタイルに明確な違いがあることを理解してもらうために、簡単にバーとカフェを比較してみましょう。
まずは、店の設えやそれに伴う客層の違い。席の形態や照明の明るさ、調度品などがイメージしやすいですね。そして、それに伴って客単価や回転率も大きく異なってくることに気付くはず。
カフェを謳う以上、コーヒー一杯のみの利用客も大切なお客であり、チャージの設定がなければ客単価はせいぜい数百円〜1000円程度。一方、バーは、着席・注文した時点で1000〜2000円のチャージが発生することが多いですね。さらにカクテル一杯も1000円前後だとすると、同じ一杯の利用でも客単価に数倍の差が発生。そのうえ、お客が注文する数も違います。
バーとカフェで同じようにひとり客が1時間滞在した場合、バーであれば2〜3杯の注文を受けることが多いですが、カフェでコーヒーを何杯もおかわりするお客は稀です。
お客の滞在時間=回転率についても同様で、バーとカフェでは提供するメニューの性格や店の設え、そして接客スタイルの違いから、お客の過ごし方が根本的に異なります。これもひとり客を例にすると、カフェでの平均滞在時間は1時間ほどに対し、バーは2〜3時間というお客が多いですね。
もちろん、店の立地や雰囲気、席と席の間隔など、様々な要素によって多少の差異は出ますが、おおよそは変わらないはず。そして、やはり最も影響するのが、お客とスタッフとの距離感を決定づける「接客スタイル」にあります。
接客にパターンはないけど、接客のテーマを決めるのは大事
提供されるカクテルや料理、バーテンダーとの会話、スマートな接客など、お客によって様々な要素を楽しみにしながら来店しているはず。日常の営業における接客であっても、お客によってその内容は千差万別であり、同じ接客パターンはないと思っていいでしょう。
だからこそ、店のカラーが色濃く反映される接客スタイルは、軸となるテーマを明確にすることが大切なのです。
※画像はイメージです
※「人気BARの接客サービス」に掲載した内容を再編集しています
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