1980年代の神戸の喫茶店にあるデザートメニューはハイセンスで斬新!

喫茶店では欠かせないメニューであるデザート。特に全国的な洋菓子の有名店を数多く生み出した神戸の喫茶店には、今では見かけないようなハイセンスなデザートメニューがたくさん!

もちろん、今でも現役の定番メニューはあるのですが、今では考えられない、洗練されたメニューもたくさんあったのです!ここでは昭和59年(1984年)に旭屋出版から刊行された「喫茶&スナック7月号」を見ながら、過去の喫茶店の世界を巡ってみましょう。

1980年代、神戸の喫茶店のデザートは洋菓子店の発展とともにハイセンスなメニューに!

当時の特集は金沢特集

フードマニアを運営する旭屋出版は50年以上の歴史を誇る老舗出版社。飲食業界向けの雑誌を多く作っており、1980年代には喫茶店やスナックの専門誌「喫茶&スナック」を制作していました。今回は昭和59年(1984年)に発売された7月号を見てみましょう。

記事によると、国際的感覚の優れた神戸はケーキやデザート、洋菓子の店を育ててきたという背景もあったため、喫茶店であってもこの厳しい目を無視できなかったとのこと。見た目の美しさはもちろん、メニューとしての楽しさも要求されたそうです。それでは、そんなお客の厳しい目によって磨かれた神戸のデザートメニューを覗いてみましょう。

斬新!盛り付けや容器にこだわったアイス

飴細工は「飾り」としての役目を果たしていたよう

もはやモダンアートのように何を表現したかのような作品に見えますが、れっきとしたスイーツ。ラングドシャのボートに、バニラアイスクリームとマンゴーアイスクリームをのせ、キウイやイチゴ、オレンジ、ピスタチオを加えて盛り合わせた豪華な内容。飴細工(シュクレフィレ)でデコレーションすることでかなり尖ったスイーツに!

自分でチョコレートをかけてサンデーを作るという楽しいメニュー

実はこう見えて「チョコレートサンデー」。どこがサンデー?と思いきや、バニラアイスクリームとチョコレートシロップを別々にして自らサンデーを作り出すというもの。ちょっとしたアイデアなのですが、これだけで売上が30%アップしたというからすごい!

キウイ大好きな人はたまらない内容!

花びら型のキウイの盛り合わせがまた爽やか!キウイ1個分を使った贅沢な一品で、ソースまでキウイというキウイ好きのためのアイスクリーム。女性に大人気だったらしく、今でいえば「SNS映え」の一品だったのでしょう。

派手さを抑え上品に仕上げたケーキメニュー

実はこれ…豆腐なんです!

見た目はレアチーズのように見えますが…実は豆腐を使ったケーキ!絹ごし豆腐をホイッパーで細かくして豆乳や卵黄、ゼラチンなどを使って生クリームを入れて固めたもの。かなりレアチーズケーキそっくりの味になっていたらしく、前衛的なデザートだったようです。

確かに盛り付け的に「フレンチ」を感じるような気もしますが…

「パリのお嬢さん」と名付けられたこの商品は、レアチーズケーキとシャーベットを組み合わせたもの。そこにカスタードとレーズンをかけると、少し「お上品」な雰囲気がするからこの名前がつけられたそう。意外にもオリジナリティがウケてよく売れる商品になったとか。

パンケーキの楽しみ方を模索したメニュー

「フルーツパンケーキ」と名付けられたものの、なんとパンケーキをバニラアイスを巻くといった異色のパンケーキ。どちらかというと「どら焼き」な雰囲気もしますが、手づかみでも行けそうな感じが斬新!その一方でフォークとナイフで楽しめるようなサイズにもしてくれるているので、いろいろな楽しみ方ができるのが特徴だった様子。

シンプルで無駄のないビジュアル!モダンなゼリー

「野菜ゼリー」とはなっているものの、主な原料はニンジン

デザートであっても当時から女性が気にしていたのは「ヘルシー」さ。楽しく食べて健康に良いということで考案されたのが、こちらの「野菜ゼリー」。ニンジンを圧力鍋で煮て寒天に溶かした液体に入れて混ぜるというもの。プレーンヨーグルトものっているので、ヘルシーさをかなり重視していたと思われます。

見た目はシンプルなゼリーに見えますが、実はゼリーだけで終わらない!

フランス語で「パンプルムース」と名付けられていましたが、これは「グレープフルーツ」という意味。見た目はグレープフルーツゼリーに見えますが…その中にはグレープフルーツのムース、サバランまで入った予想を裏切る味。見た目はシンプルなのに中身は豪華という遊び心が感じられるスイーツです。

コーヒーゼリーとカフェ・オ・レのゼリーを合わせるというアイデアメニュー

コーヒーゼリーとカフェ・オ・レのゼリー、どちらを食べたらいいか悩む!という人に向けたのがこの3層のゼリー。なるほど…これなら両方の味が同時に食べ比べができるし、見た目も豪華なので、お得感満載!お客の要望を洗練した盛り付けで応えるという神戸らしいコーヒーゼリーです。

プリンが定着したからこそ磨かれた新境地!

プリンの中にカステラとレーズンが入っているのです

当時はプリンが定着したため、プリンのメニューは特に斬新さが求められていました。そこでこのプリンにはカステラのブロックとレーズンを入れて固めるという斬新なもので、食べたお客は「何が入っているんだろう…」と分からなかったとか。しかし、プリンの新たな領域は女性客を中心に人気を集めました。

カップル専用メニューではなかった様子

ジャンボプリンの「カップル」ということで、アイスクリームやクリームが選ばれるということなのか、容器はなぜかハート型。しかし、男性・女性問わず大人気だったようで、プリンをいろいろ組み合わせてガッツリと食べたいという人においてはこの形状が理想的だったのかもしれません…。

80年代の喫茶店のデザートメニューは今見るとすごく面白い!

茶店が全盛期の時代ならではの個性あふれるメニューがたくさんありましたね!紹介したのはあくまで有名な洋菓子店が多く生まれた神戸ならではのハイセンスで上品なメニューですが、基本的には現在でも食べられるメニューもいくつかあります。斬新なアイデアの商品が多いので、おうちで自分で作って食べてみるというのも面白いですね!

※こちらで紹介している料理の写真、料金、セット内容は掲載当時のものです。現在では取り扱っていませんのでご了承ください。