カカオには品種がある?お菓子マニアが解説
チョコレートやココアの原料であるカカオ豆。実は品種がいくつかあるって知っていました?
ここではスイーツに関する本を多く出版してきたお菓子マニア編集部がカカオの品種について解説していきます。チョコレートに詳しくなりたい人におすすめ!
カカオ豆とはそもそもどんな植物?
カカオの木はアオギリ科に属する木で、成長が早く、栽培を始めて3~4年目から開花結実し、50年間は実り続けます。しかもその間、年2回の収穫ができるのが特徴。
成熟した果実は、固くて紡錘形または楕円形で、カカオポッドと呼ばれます。中に甘酸っぱい果肉が詰まっていて、果肉に包まれるようにアーモンド形をしたカカオ豆が入っています。1つのカカオポッドの中に、カカオ豆(この時は白色か紫色)は通常20~50個も入っているというから驚きですね。
このカカオ豆を、まず固い殻を割り、果肉ごと取り出してバナナの葉で被い、自然発酵させます。この発酵は25~36時間かけ、終了したら、2日間かけて乾燥。この3~4日間の工程によって、カカオ豆は化学変化を起こし、特有の香りを持つようになるのです。
こうして生産されたカカオ豆は、工場でロースト、外皮を除いた後、磨砕され(磨砕され、どろどろになったものを力カオマスという)、ブレンドした後、さらに細かく挽かれていきます。
カカオ豆には、3種類の風味の違う品種がある
実はカカオ豆は木の品種、生産地や発酵乾燥方法などによって、3種類に分けられています。
■クリオロ種
生産量に占める割合はカカオ豆の10%。木自体の成長は遅め。豆は白っぽく柔らかい。苦みは強くないのが特徴。ブレンドでは香りづけ用に使われます。
■フォラステロ種
全世界のカカオ豆の生産量の90%を占めています。1本の木からの収穫量が多いのが特徴。風味は「クリオロ種」より劣りますが、クセは少ない傾向に。ブレンドのベース豆として使われます。
■トリニタリオ種
「クリオロ種」と「フォラステロ種」との交配種。交配具合により、それぞれの特徴が際立たせられるもの。
カカオ豆の生産地と特徴
全世界で作られているカカオ豆ですが、地域ごとに味わいや用途が異なっています。生産地別に紹介していきましょう。
■ベネズエラ(南アメリカ)
カカオ豆の原産地。世界最高の品質を誇るカカオ豆を生産しています。
■エクアドル (南アメリカ)
高品質で高価なフォラステ口種のアリバというカカオで有名。
■ブラジル(南アメリカ)
近年、生産量は減少。酸度の高いバヒアというカカオの生産で有名。
■コートジボアール(西アフリカ)
世界最大のカカオ豆生産国。ブレンドのベース用カカオ豆を栽培しています。
■ガーナ (西アフリカ)
かつては世界第一位のカカオ豆生産国。カカオ豆は、マイルドなものを生産しています。
■インドネシア(東南アジア)
現在、アジアでは生産量第一位。近年、飛躍的に生産量を伸ばしています。
カカオ豆には、3種類の品種があった!
現代日本において、なかなかお目にかかることのないカカオ豆ですが、それぞれの豆に個性があり、その配合でチョコレートやココアの味が変わってくるのです。
※画像はイメージです
※MOOK「料理と食シリーズNo.13 コーヒー」に掲載した内容を再編集しています
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