餃子のお店が増えた理由

不評の水餃子はすぐに焼き餃子に切り替えられ、人気を集めるようになりました。小麦粉でできた皮が高温で熱せられることにより生まれるきれいなきつね色は、メラノイジンという物質が含まれます。これはご飯のお焦げの香ばしい香りにも代表される、日本人好みの香りです。さらに、それに酢と醤油という、旨味たっぷりの日本の伝統調味料を付けて食べる、日本流の餃子は空きっ腹を抱え、美味しいものに飢えていた人々の味覚を満足させないはずはなかったのです。餃子の店は、闇市でも行列を作るほど人気を集めるようになりました。その人気を見た人が「餃子は儲かる!」と真似て店を出す。こうして餃子を出す店は増えていきました。
臭み消しのために、あんににんにくを入れていた
当時、ほとんどの店では豚肉をヤミで入手したり、知人に飼育してもらったものをゆずってもらい使ったといいます。また豚肉が高価であったこともあり、中国風に羊肉を使うところもありましたが、当時の日本では老羊を肉にしていたため匂いが強かったのです。そこで匂い消しのために、あんににんにくを入れた餃子も登場し、独自の個性で人気を集めるようになります。現在、大阪を中心に店舗展開する『珉珉』もこの流れを汲む餃子です。こうしてにんにくがあんに入ることも餃子の特徴になります。
自前で調理器具を作る人も
調理器具も、今日のように専門の餃子焼き機や餃子鍋などがない時代。各店が工夫を凝らし、専用の道具を手作りした人もいました。駅前屋台が多かった浜松などでは、フライパンを使って餃子を焼く店も登場し、現在にいたっています。
■参考資料:「餃子の探求」(旭屋出版)
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