焼肉店で使用する唐辛子とはどんなもの?焼肉マニアが解説

唐辛子は焼肉・韓国料理に欠かせないスパイス。その品種や産地、そして加工法により、辛さや風味は様々に異なるのです。

ここでは焼肉に関する本を多く出版してきた焼肉マニア編集部が焼肉店で使用する唐辛子について解説していきます。焼肉に詳しくなりたい人におすすめ!

唐辛子とは?韓国の唐辛子の歴史

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韓国料理に欠かすことができない香辛料・ 唐辛子。韓国に伝わったのは意外に新しく、400年ほど前の17世紀前後のこと。メキシコ原産でコロンブスによってヨーロッパに持ち帰られて以降、世界中に広がり、韓国へは日本を通じて伝播したといわれています。

最初はその抗菌性や抗酸化性が注目されて使われ始め、18世紀にはキムチ作りにも利用されるなど、ゆっくりと韓国の料理に取り込まれていきました。いまではスープやチゲなど様々な料理に用いられ、焼肉店の料理でも多く活用されるスパイスに。

韓国産の唐辛子は他とどう違う?

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唐辛子は、品種により色や形、成分が様々に異なります。特徴的な成分である、カプサイシンに代表される辛味も、品種によってかなり違うのです。 日本の鷹の爪や中国の唐辛子は、刺激的で直接的な辛さが特徴。そのため中華料理では、もっぱら辛さを出すために唐辛子を使い、様々な調味料と合わせることで旨味を加えています。

一方、韓国産の唐辛子は辛味に加え、甘みや旨味が際立っているのが特徴。そのため添加物などを加えずとも、唐辛子だけで旨味や甘みを出すことができます。この味の違いは大きく、食べる人が食べればひと口で分かるほど。ただし価格面では、韓国は農地も狭く人件費も高いため、中国産の2〜3倍の価格になることが多い傾向に。

唐辛子は料理にどのように使用される?

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日本で流通する韓国の唐辛子は、実を乾燥させたのち、挽いたものが中心。挽き方は、粗挽きと中挽き、粉末の3タイプに分けられます。 成分は同じではありますが、それぞれ味の出方が異なるため、 種類によって向く料理が異なります。

例えば、粗挽きタイプだと、じっくり成分が出るため、スープやチゲなど加熱する料理に向くとされています。また中国産の唐辛子は味が出にくいので、スープやチゲでも調理の始めに加えて加熱する、という店も多い傾向に。韓国産は味が出やすいので、調理の最後の方で加えます。

一方、 粉末状の唐辛子は、非加熱用の調理に向いていて、キムチなどに使われることが多い傾向に。色も出やすいので料理の仕上げにかけたり、タレの薬味に使うことも。

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また、加工された状態の唐辛子は、見た目では品質を見極めるのが難しいです。韓国産と中国産の大きな違いとしては、もともと韓国産の唐辛子は大きくて肉厚なため、乾燥後にも水分が残りやすく、粉末でもしっとりとした仕上がりに。中国産は、日本の鷹の爪と同じくパラッと乾燥した状態で、水分は感じられません。 また、色味は総じて韓国産より中国産の唐辛子の方がよい傾向に。

唐辛子は焼肉をおいしくさせるだけではなく、栄養も抜群!

唐辛子はカプサイシンに代表される辛味成分だけでなく、生の果実はビタミンA、ビタミンCを豊富に含んでいて、栄養価の高さでも注目されています。 また旨味や甘味のもととなる炭水化物・糖質の割合が多く、これらが作用して、いわゆる「クセになる辛さ」 を引き立てるのです。食物繊維も豊富なのも嬉しいですね。

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※「焼肉料理の最新技術」に掲載した内容を再編集しています