なぜ料理にワインが使われるの?フードマニア編集部がわかりやすく解説!

さまざまな料理に大活躍する「ソース」や「ドレッシング」。ソース一つで味に変化をもたらしてくれます。とりわけワインはソースの材料として使われる機会が多く、洋食には欠かせない存在です。

この記事では、ワインがソースによく使われる理由や、「旨味」のメカニズムをフードマニア編集部がわかりやすく解説していきます。

ワインがソースになる理由は?

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イタリアやフランス料理をはじめ、さまざまな料理に使われるワイン。ソースにワインを使用した場合、かなりの成分が加熱後も残るのが特徴です。普通のお酢に含まれている「サク酸」は、加熱で簡単に蒸発してしまうので酸味が残りません。しかし、酸味はソースの味を引き締める重要な役割があるため、加熱後も酸味成分が残るワインは、ソース作りに幅広く活躍します。

赤ワインの最大の魅力は、赤ワイン本来が持つ酸味成分と発酵時に生じる酸のどちらも加熱後に残るところ。赤ワインにはブドウに含まれる「酒石酸」(ワイン発酵時に生じる「沈殿物」の主成分)や「リンゴ酸」などが多く、発酵熟成の過程でもかなりの量の「乳酸」が生まれます。これらの酸はサク酸と異なり、不揮発性酸と呼ばれ、加熱によって蒸発しないのが特徴です。

さらに、赤ワインはポリフェノール系とアントシアン系の渋みを含んでいて、これらも加熱後にソースの一部として残り、深みのある味わいを演出します。白ワインの場合も、熟成により乳酸を生成し、赤ワインほどではありませんが、原料のブドウが持つ酸を多く含んでいます。また、白ワインの特徴である、グリセリン系の甘味成分も加熱による蒸発がないのでソースに適しています。

ロゼワインは使われない?

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赤ワインと白ワインの中間に位置する「ロゼワイン」ですが、どちらかと言うと飲料用に作られたワインで、ソースにはあまり使われない傾向にあります。ブドウの皮や種子周辺の旨味の素になる「ポリフェノール系物質」を十分に抽出した赤ワインに比べ、ロゼワインは赤ワインが少し発酵したところで皮と種子を絞って除きます。

また、赤ワインは長期のアルコール発酵により、アントシアン系物質がほとんどワイン中に溶け出していますが、ロゼワインは熟成期間が短く、渋みや酸味成分が少ないのも特徴です。それに加え、ロゼワインは白ワインのような「グリセリン系」の甘味成分も少ないため、ソース作りには白ワインや赤ワインがおすすめなのです。

ワインの酸味や旨味成分は加熱しても蒸発しない!

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ワインがソース作りに使われる理由は、赤ワインの酸味や渋み、白ワインの甘味成分がソースを引き立ててくれるためなのです。これらの成分は「加熱しても蒸発しにくい」という性質があり、その特徴がソース作りでは存分に活かされているんですよ。皆さんも、ぜひソース作りにワインを取り入れてみてはいかがでしょうか。

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※「料理と食シリーズ No.31 有名店・一流シェフのソース ドレッシング」に掲載した内容を再編集しています。