お茶漬けの歴史とは?その由来をフードマニア編集部が解説

お茶漬けといえば、軽食から飲みのシメまで庶民に馴染みの深いお手軽の米料理。ところで、お米にお茶をかけるという食べ方はいつの時代から始まったのでしょうか?

ここでは和食に関する本を出版しているフードマニア編集部がお茶漬けの歴史とその由来を解説していきます。

お茶漬けは雑炊から由来するもの?

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戦国時代のドラマを見ていると、農民が炉端で食べているのが白いご飯ではなく鍋に入った「雑炊」が多かったりしますね。当時はその貧しさゆえに、少量の米と多くの雑穀と、さらに多くの菜っ葉を混ぜたものが主食でした。

もともと雑炊は「増水」と呼ばれました。呼んで字のごとく“水増し”したもので、かなり悲しい命名。そのまたルーツは糝といって、水分を多くした穀類の汁のこと。米さえ使わなかったのです。時代が下がり、水増しでなく様々な具を入れて作るようになって「雑炊」となりました。

そして、お茶漬けを初めて作ったのが平安時代の貴族の一人、藤原実朝。ちなみに「湯漬け」を好んだのは室町将軍、足利義政。いずれにしても、米が貴重な時代の上流階級の贅沢な食べ物だったのです。

お茶漬けが普及したのは江戸時代

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そのお茶漬けが庶民の味になったのが、江戸時代、八代将軍・徳川吉宗の頃。永谷宗七郎という人物が煎茶の製法を考案して、お茶という嗜好品を一般的にしたことが、庶民にお茶漬けを広めるきっかけになったという説が有力。

その永谷宗七郎の子孫が昭和27年「お茶づけ海苔」という今に続くロングセラー商品を開発しました。その会社とは、初代の苗字からも想像がつくと思いますが、現在でも有名な食品メーカーである『永谷園』です。

お茶漬けは雑炊に由来していて、庶民に広がるのは江戸時代から!

同じ水分の多いご飯でも、雑炊よりも「お茶漬け」のほうが粋なイメージがありますね。酒を飲んだ後に小腹が空いたからサラサラと食べるというのは、江戸時代から続く日本の文化でもあります。

最後に、お茶漬けに合う煎茶は何でしょうか?それは良質の粉茶による緑茶だそう。少なめのご飯に濃いめの緑茶をたっぷり注いで食べるのが最も美味しいというのが、多くの食通の意見だそうです。

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※「食事が楽しくなる 会話が広がる おいしいクイズ111」に掲載した内容を再編集しています