ラーメンのタレとしてのみそはどんなもの?その種類と特徴をラーメンマニアが解説

味噌ラーメンのタレには欠かせない調味量といえばみそ。麹の種類や配合、熟成期間などにより全国各地にさまざまなみそが存在し、ラーメンのバリエーションも増えています。

ここではラーメンに関する本を多く出版してきたラーメンマニア編集部が味噌の種類について解説していきます。ラーメンに詳しくなりたい人におすすめ!

ラーメンのタレに使用されるみそとは?大きく3種類に分類

画像素材:写真AC

1200年以上も昔から日本の食生活には欠かせない基本の調味料として発展してきたみそ。日本全国それぞれの地域で、原料事情や気候風土、嗜好などに合わせて、“故郷の味”としてさまざまな特徴をもったみそが造られています。

発酵調味料であるみそは、麹の種類によって米みそ、麦みそ、豆みその3種類に分けられます。米麹を使うものが「米みそ」で、日本のみその生産量の80%を占めています。北海道、東北、関東、北陸、四国…と幅広い地域で生産されていますが、なかでも有名なのが長野県の信州みそ。全国のみその生産量の3割を誇ります。

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麦麹を使うのは「麦みそ」と呼ばれます。全国的に生産されていますが、特に九州・中国・四国地方で多く作られています。さつま汁やからし蓮根などの郷土料理には欠かせないみそで、米みそよりやや甘めなのが特徴。別名「田舎みそ」とも呼ばれます。

米みそと麦みそは製法が同じで、煮たり蒸したりした大豆に麹(米や麦)と食塩を加えて、発酵・熟成させて作るのが一般的。

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一方、愛知・三重・岐阜の3県を中心に、大豆を主原料とするみそが作られますが、これが「豆みそ」。製法も独特で、蒸した大豆を球状にしたものに、種麹と香煎を加えて発酵・熟成させて作ります。

八丁みそなどがその代表例で、原料が大豆だけなのでたんぱく質含有量が多く、栄養価の面でも優れています。水分が少なめなのでやや固く、渋味と苦味のある濃厚な味と香りが特徴。赤だしやみそ煮こみうどんなどによく使われます。

地方ごとにみその味わいと特徴は全く違う

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みその甘辛さや色についても見ていきましょう。「甘みそ、甘口みそ・辛口みそ」と表現される甘辛さの度合いは食塩の量で決まりますが、麹歩合によっても決まります。麹歩合とは、大豆に対する麹の割合のことで、麹をたくさん使う(麹歩合が高い)方が甘口に。

麹をたくさん使うと大豆の熟成は早くなります。つまり、熟成期間は短くてすむのです。例えば、関西の西京みそは麹歩合が高い甘みそで、熟成期間も短く、季節によっては1~2週間で熟成を終えることも。

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北海道・東北地方のみそは赤色のものが多く、「赤みそ」と呼ばれますが、近畿地方や岡山・広島などのみそは黄色っぽく「白みそ」と呼ばれます。その中間は「淡色みそ」に。

大豆の種類や、大豆を蒸して使うか、それとも煮て使うかなどにより色は異なります。発酵途中にかき回すかどうかによっても同様。また熟成期間が長くなるほど、濃い色になる傾向に。

みそは原料が大豆という点ではどれも共通していますが、麹の種類や、麹と塩分の配合、使う大豆の特徴、熟成期間などにより、その色や香り、味わいに特徴が生まれます。また、「味噌汁を作る時は火を止めてから味噌を加えろ」などとよく言われますが、調理方法によっても味や香りが変わってくるのです。

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懐石料理などでは昔から、2種以上のみそをブレンドした「調合みそ」(合わせみそ)が使われています。「米みそ+麦みそ」、「甘口+辛口」、「赤色系+白色系」など、組み合わせにより、オリジナルの味を生み出すことが可能となったのです。

ほかに、なめらかなペースト状のみそもあれば、大豆の粒が少し残った状態のざらついたみそもあり、舌触りもさまざま。みそに旨味成分を加えた「だし入りみそ」なども。とにかく、味噌に関しては製法がたくさんあるのです。

ラーメンのタレに使用されるみそはこれだけある!

みそは歴史のある基本調味料だけに、商品の数だけみその種類があるのです。そして、味噌ラーメンの店はまだまだ増加中。みそは新しい味の開発の余地がある調味料ともいえるでしょう。

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※MOOK「人気店が公開する調理技術ラーメン」に掲載した内容を再編集しています