ポン酢の由来とは?歴史を交えてフードマニア編集部が解説

鍋料理に欠かせないポン酢醤油。実はこのポン酢という名前、日本で生まれた言葉ではないのをご存知でしたか?

ここではさまざまなジャンルでグルメに関する本を出版しているフードマニア編集部が、歴史を交えてポン酢の由来を解説していきます!

「ポン酢」の語源はオランダ語!もともとはアルコール、柑橘系を意味する言葉

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日本で生まれた調味料だからこそ、なんとなく語源も日本語からきていると思われがちなポン酢。しかし、実は当て字の一種で、もともとは特定のアルコールや柑橘類を指すオランダ語の「ポンス(pons)」からきています。

食前酒としてオランダから日本に伝来されたポンスでしたが、やがてポンスに使う柑橘類の果汁の方を意味する言葉になり、そのまま日本語化していきました。ちなみに、漢字の「酢」が使われている理由については、お酢のように酸味があったからという説が有力。

そんなポンスですが、実は大元をたどるとインドのサンスクリット語で「5つ」を意味する、「パンチャ」が語源だといわれています。もともとは紅茶や砂糖、レモン汁など5つの材料を混ぜ合わせて作られていた胃腸薬でしたが、オランダに伝来した際、蒸留酒に柑橘類の果汁を入れて楽しむカクテル、ポンスに変化。その後、日本に伝わってポン酢へとなりました。

江戸時代の長崎にてポン酢が誕生。一般家庭に流通したのは昭和中期

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ポン酢が生まれたのは、 江戸時代の長崎・出島。果汁としてのポンスに日本流のアレンジを加えた調味料として、九州を中心に広がりを見せました。しかし、その酸化のしやすさから、昭和30年代までは、ポン酢や醤油などを加えた味付けポン酢は、家庭での取り扱いは難しいとされていました。

そんな中、大手食品メーカーの7代目社長が、博多の名物料理「博多水炊き」をポン酢で食べたことをきっかけに事態は動き出します。家庭でも鍋の味を手軽に楽しめるようさまざまな試行錯誤を繰り返した末、1964年には関西地方にて家庭用味付きポン酢を販売することに成功。さらに1967年秋には全国に向けて販売を行い、あっという間に家庭用調味料としての地位を確立しました。

ポン酢の語源はオランダ語!江戸時代に生まれたポン酢は昭和の中頃に全国の家庭へ流通

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江戸時代の長崎で生まれた調味料でありながら、その由来はオランダ語からきていたポン酢。伝来した当初はアルコールの一種でしたが、日本では調味料として九州を中心に普及していました。酸化のしやすさなどから家庭での扱いは難しいとされていましたが、試行錯誤の末、昭和中期には全国各地で家庭用の味付きポン酢が販売されるように。長い時を経て、今のように鍋や和食の必需品といえるまでになったのです。

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※「「食」の雑学達人になる本」に掲載した内容を再編集しています