ザッハトルテとはどんなもの?他のチョコレートケーキとの違いは?お菓子マニア編集部がわかりやすく解説

オーストリアを代表するチョコレートケーキ「ザッハトルテ」。濃厚なカカオの風味とアプリコットの甘酸っぱさが魅力のケーキで、「チョコレートケーキの王様」という別名を持つほど、広く愛されているケーキです。

この記事ではお菓子マニア編集部がザッハトルテの特徴と、ガトーショコラやオペラとの違いについて解説していきます。

そもそもザッハトルテとは?

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ザッハトルテとはオーストリアの首都ウィーンで生まれたお菓子の一つ。チョコレートのスポンジケーキにあんずジャムを塗り、表面をチョコレートでコーティングしたスイーツで、「チョコレートケーキの王様」の異名もあるほど世界中から愛されているケーキです。

1832年、オーストリアの料理人フランツ・ザッハーによって考案されたザッハトルテ。当時まだ16歳であったフランツ・ザッハーが「貴族のためになにか新しいお菓子を作るように」と命じられ、できたのがこのザッハトルテであったと言われています。ザッハトルテはその美味しさからたちまちウィーン中で話題となり、フランツ・ザッハーはその名を馳せることになります。

ザッハトルテを巡って起きた「甘い7年戦争」とは?

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ザッハトルテを考案したことで富を得たフランツ・ザッハー。その後彼の息子が「ホテル・ザッハ」を開業し、その名物スイーツとしてザッハトルテを提供するようになると、ますますその評判が広く知られるようになりました。

しかし3代目の時に「ホテル・ザッハ」はついに経営難に陥ってしまいます。そんな中で手を差し伸べてきたのが、当時ウィーン王室御用達のケーキ屋として知られていた「デメル」。「デメル」は、ザッハトルテの販売を「デメル」でも認めることを条件に、経済支援を提案したのです。

しかしその後、「ホテル・ザッハ」は「デメル」に対して販売権の中止を申し立てます。ザッハトルテの販売権をかけたこの裁判はなんと7年間にも及び、「甘い7年戦争」と呼ばれています。

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結果、販売権は「ホテル・ザッハ」と「デメル」両者に認められたものの、オリジナルは「ホテル・ザッハ」だけが主張するものとして、事態は終結しました。そのためウィーンでは今も「オリジナルザッハトルテ」「デメルのザッハトルテ」として2つのザッハトルテが売られています。

ガトーショコラやオペラとの違いは?

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ガトーショコラやオペラなど有名なチョコレートケーキはいくつもありますが、ザッハトルテとの違いはどこにあるのでしょうか。

先ほども紹介した通り、ザッハトルテがチョコを練り込んだスポンジ生地にアプリコットジャムを塗って、チョコレートでコーティングしたお菓子であるのに対して、ガトーショコラは生地にチョコレートを練り込んだ、ふわふわしっとりとした食感が特徴のケーキのこと。特にクリームなどは塗らないシンプルなレシピですが、ビターな甘さが人気のケーキです。ザッハトルテのほうが工程も多く、上級者向けのケーキと言えるでしょう。

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一方のオペラは、リキュールを染み込ませたスポンジ生地に、ガナッシュ、コーヒー風味のバタークリームを交互に重ねて、最後にチョコレートでコーティングしたケーキのこと。7層で作られるのが一般的で、層の数に対して高さが約3cmと低いのが特徴です。余計な装飾をそぎ落とした洗練されたデザインで、本場パリでも高級店でしか取り扱いがありません。

ザッハトルテとはオーストリアを代表するケーキのこと!

オーストリアを代表するケーキ、ザッハトルテ。かつてはその販売権をかけて7年にもわたる裁判が行われたほどで、今も根強い人気を誇っているケーキです。オリジナルの「ホテル・ザッハ」のザッハトルテと、「デメルのザッハトルテ」。ぜひ本場ウィーンに訪れる機会があったら、食べ比べてみてくださいね。

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