1980年代の喫茶店のパンケーキ&クレープでレトロ探訪!「喫茶&スナック1981年12月号」

今でこそパンケーキやクレープは身近なスイーツですが、80年代の日本ではまだまだ新鮮な食べ物でした。ホットケーキは身近な食べ物になりつつある時代でしたが、その発展型であるこの2つはまだまだ未知の領域!

ブームの影響も受け、喫茶店では現代にはないレトロでどこかユニークなメニューがたくさん登場!ここでは昭和56年(1981年)に旭屋出版から刊行された「喫茶&スナック12月号」を見ながら、過去の喫茶店の世界を巡ってみましょう。

80年代前半、パンケーキやクレープといったワードが登場!

当時の特集は「パンケーキとクレープ」

フードマニアを運営する旭屋出版は50年以上の歴史を誇る老舗出版社。飲食業界向けの雑誌を多く制作しており、1980年代には喫茶店やスナックの専門誌「喫茶&スナック」を制作していました。今回は1981年12月号の記事を見てみましょう!

記事によると、昭和37年(1962年)頃からホットケーキミックスが市販されるようになってから喫茶店でも気軽に食べられるようになったのがこの時代から。その後、どんどん進化し、プリンやアイスクリームなどをデコレーションしたホットケーキも出始め、いよいよ本格的に喫茶店のメニューが登場するようになったのが1980年代。名称も「パンケーキ」に変わり、その延長で「クレープ」も人気が出てくるようになりました。こうして華やかなパンケーキとクレープが誕生するようになったのです。

デコりまくり!盛りが豪華なパンケーキメニュー

盛り付けもパンケーキというよりもワッフルのよう

今も昔もパンケーキというのはデコレーション次第でおしゃれでおいしくなるもの。こちらはマロンとババロアをのせた大人なパンケーキです。当時のパンケーキメニューはひたすら甘さを追求したものが多い中、ヘルシーなパンケーキは時代を先取りしたものだったのもしれません。

1日に25セットも出たという人気メニュー

プリンアラモードがあるのなら「ホットケーキアラモード」だってあってもいいじゃない!ということで、メロンとパイナップルを中心としたフルーツにホイップクリームをのせた盛りだくさんのメニュー。しかも、メープルシロップ、ストロベリーソース、ブルーベリーソースを組み合わせて自分だけのオリジナルの味を生み出せるのも魅力。

喫茶店ならではのアイデア!食事として楽しめるパンケーキ

当時の子どもたちにも人気があって注文数が多かったとのこと

この頃になると、おやつとしてのパンケーキから食事としてのパンケーキも受け入れられてきました。こちらの「パンケーキサンドイッチ」はベーコンや目玉焼きなどを挟んで食べてもよし、そのまま別々に食べてよしという自由度の高いパンケーキセット。

おやつというよりもファストフードのよう!

サンドイッチ系パンケーキといえば、こちらもすごい!ロースハムをパンケーキでサンドイッチにしたものではランチとして人気があったメニュー。ロースハムに挟んだパンケーキを4つに切って、ケチャップとマスタードをかけたものなので、食べごたえも抜群!

クレープという領域を超えた!アイデア商品

ビジュアルもクレープというよりも茶巾包

当時まだまだクレープという食べ物が馴染みがなかったようで、これは和菓子風にしてまずは食べてもらおう……と、そんな努力が感じられる一品。こちらの小倉餡を包んだクレープは、洋菓子というよりもほぼ和菓子。クレープにストロベリーソースとホイップクリームと合わせるという、親しみやすいけど確実に「新しい何か」を感じるメニューだったのでしょう。

なぜマロンのクレープの容器がヤシの実だったのかは不明……インパクト?

売れるメニューは「意外性」の演出も大事!ということでヤシの実を器に使った不思議なクレープ。クレープの中はバニラアイスやマロンゼリー、ホイップリームなど、マロン系の味に統一されています。ブランデーなどを使ったマロンソースがかかっているので、男性客にも好評だったとか。

食べるのを躊躇しそうなビジュアル!

子供向けのメニュー開発は当時から盛んだったようで、流行りのクレープをアレンジしたものがこちら。アイスリームにこんがりと焼いたクレープを帽子のようにのせるとピエロっぽく見えますね。

もうおやつのレベルじゃない!喫茶店が誇る創作料理

カレーライスをクレープにアレンジしたので、クレープがライス代わり

当時も今もカレーライスはどこの喫茶店も出す定番メニュー。他の店との差をつけるために考案されたのが、この「クレープカレー」。確かにありそうでなかった商品ではありますが、食べるのが少し難しそう…。喫茶店らしい自由なアイデアが光る一品ですね!

実際はクレープではなく、春餅という北京ダックに使用する小麦粉料理

当時クレープ人気が高すぎて、中華料理店までクレープの提供を始めたのです!この「手巻きクレープセット」はエビのチリソースや回鍋肉、中華風スクランブルエッグを自分のお好みで包むという斬新なメニュー。さらに、ごま味噌を塗ったり、ネギをのせたりとアレンジもさまざまだった様子。

クレープを添えたアイスクリームまでセットになった豪華メニュー

そして、究極の食事系クレープといえばこちら!「フランクフルトとピラフのクレープセット」はフランクフルトやピラフをクレープで包むという男性客に大好評だったメニューです。今でいえばブリトーのようなボリュームたっぷりの料理だったのでしょう。

80年代のパンケーキとクレープは今見るとすごく面白い!

パンケーキやクレープの黎明期ならではの個性あふれるメニューがたくさんありましたね!今では「パンケーキ」という言葉も定着しましたが、ひと昔前だとまだまだ普及しておらず、試行錯誤を重ねていた段階というのがよくわかりますね。現在では味わうことはできませんが、斬新なアイデアも多いので、おうちで試してみるのはいかがでしょうか?(ただし、カロリーはすごく高そうなので要注意!)

※こちらで紹介している料理の写真、料金、セット内容は掲載当時のものです。現在では取り扱っていませんのでご了承ください。