ミクソロジーカクテルとは?その違いと魅力を編集部が解説

Mix(混ぜる)とology(科学、〜学)と合わせた造語がMixology(ミクソロジー)。1990年代のロンドンで 発祥し、カクテルの最先端のニューヨークにも波及し、日本にも上陸しました。

このミクソロジーカクテルにはどのような魅力があるでしょうか?ここではミクソロジーカクテルに関する本を出版しているフードマニア編集部がその魅力とカクテルとの違いなどを解説していきます。

ミクソロジーカクテルとは?

画像素材:写真AC

広義として、フレッシュのフルーツや野菜、ハーブ、スパイスを使い、カクテルの味と香りを創造し、カクテルの新しい魅力を表現するのがミクソロジーカクテル。そして、ミクソロジーカクテルを作るのが、ミクソロジスト。直訳すると「混ぜるスペシャリスト」ですが、その表現では物足りないほどです。

また、フルーツなどを使う素材の新しさ以上に、ミクソロジーカクテルの個性は奥深いのです。素材のエキスを抽出して合わせたり、香りでコーティングしたり、炭酸を素材に注入したり。でき上がるまでの様々な工程にも目が釘付けになります。そして、その新しい風味と香味はもちろん、新しいテクスチャー(口の中の質感)にも、感化されるものがいっぱい。ミクソロジーカクテルは、一度体感すると、魅了されるカクテルです。

まだまだ進化するミクソロジーカクテル

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シェイカーを振る(=混ぜる)にとどまらず、シェフやパティシエの手法も駆使するミクソロジーカクテル。バーテンダーの発想と技法が広がり、仕事場はアトリエ、工房の様相も呈してきたと言えます。

MIXには、「混ぜる」という意味の他、「素」という意味もあります。MIx+ologyは、当初の「混ぜる学」から「素材学」に広がってきたとも言えるでしょう。合わせる素材をいろいろな角度から追求。素材の加工もしてカクテルを創作するのミクソロジーカクテルの一つの潮流になってきているのは、確かです。

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その昔は、ブレンダーを使ってカクテルを作ることは邪道とされたこともあります。電動の機械に頼るのは、プロのバータンダーの技とは言えない、というのが「邪道」とする理由でした。もちろん、現在では、ブレンダーを使うこともバーミキサーを使うことも、カクテルの手法では普通になっています。

伝統技術がある世界では、このような不和が、成長の過程によくあります。寿司の世界でも、アボカドやマヨネーズを使うカリフォルニアロール がアメリカで流行り、日本に入ってきたときは、「あんなの寿司じゃない」という対応がされました。ミクソロジーカクテルにも、これと似たような視線が投げかけられることもありました。それは、 伝統技術に基づいたジャパニーズ・バーテンディングのスタイルが大切にされてきた背景があるからとも言えます。さらには、ミクソロジーカクテルが成長する過程にあることを意味しているとも言えますね。

ミクソロジーから新たな基準が生まれる!?

いま、クオリティの高さと正確さ、所作の美しさで、日本のバーテンディング・スタイルは世界から注目されています。そのバータンダーの技術と知識が生かされながら、MixologyのMixの 意味が「素」「基」と深化したとき、新たなスタンダード (基準)が生まれ、カクテルの楽しみがさらに広がることでしょう。

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※「ミクソロジーカクテル」に掲載した内容を再編集しています