『人気の冷やし麺』をプロがチェック!専門書を読みながら冷やし麺のトレンドを考える

2022年5月に旭屋出版から刊行された『人気の冷やし麺』。現在は冷たい麺料理を通年提供する店も増えているという中、こちらでは140以上の冷やし麺のメニューを紹介するという専門書です。

そこで、本でもメニューをいくつか掲載した『冷やし中華専門店 ひやちゅう』さんにプロ目線で新しいメニュー開発でどのように役立つかをチェックしてもらいました!そして、最新の冷やし麺のトレンドも同時に語ってもらいましたよ。

冷やし中華専門店 ひやちゅう』とは?

店長の三浦さんに早速読んでもらいました

今回インタビューさせていただいたのは、東京・吉祥寺にある『冷やし中華専門店 ひやちゅう』の店長・三浦直子さん。『冷やし中華専門店 ひやちゅう』は確認する限り、日本で唯一の冷やし中華専門店で、なんと一年中冷やし麺を提供するお店。この店では冷やし中華を「ひやちゅう」と呼び、一般の冷やし中華とは違い、今までにない創作麺料理が多く用意されているお店です。

限定メニューも定期的に用意しているということもあり、店長の三浦さんは、冷やし麺のアイデアを一年中考えています。そこで完成したばかりの『人気の冷やし麺』を読んでもらい、プロ目線で冷やし麺のメニュー開発にどのように役立つか聞いてきました。

ちなみに、お店の詳細は別記事で詳しく紹介しているので、気になったらチェックを!

年々暑い日が増えて「ひやちゅう」は浸透しつつあるけど…限定メニューのアイデア出しが大変!

『人気の冷やし麺』では、アメリカで販売したこともある「レモンわさびひやちゅう」を含め3品紹介!

まずは、2022年の冷やし麺事情を伺ってみました。

「気温が上がると売上が増えるということもあって、2022年は3月から注文数が増えてきました。さらにゴールデンウィークも後半になると、暑いと感じる日も増えてきて順調です。

ただ冷やし麺専門店を経営していると、メニュー開発で悩むのが「盛り付け」。これは冷やし麺全般に言えることですが、基本はシンプルな味わいで見た目が地味なのが少し問題。メニュー開発は「華やかさ(写真映え)」に、彩りが加わるような「野菜の活用」を重視した上に、どのように印象に残る味をお客に感じてもらえるかが大変なんです。」

確かに、冷やし麺自体は他の麺料理に加えると少し地味な盛り付けになりつつあるので、「SNS映え」も重視する女性客に対してどのようにアプローチするかも重要ですね。

本を読んでいて気になるのは、タレやスープのバリエーション

気になったお店は『鶏そば・ラーメン Tonari』さん

そこで実際にアイデア出しをする際に、本で紹介している他の店舗の中でもどのお店が参考になりそうか、聞いてみました。

「冷やし麺は、基本的にタレやソースのバリエーションが重視されるので、その工夫がされているお店が気になりました。特に冷麺専門店の『麺ダイニングつるしこ』さんは、シンプルな冷麺のバリエーションが豊富なので参考にしたこともあります。

そして、最も限定メニューの開発力がすごいな…と思ったのが『鶏そば・ラーメン Tonari』さんですね。どのメニューもオリジナリティがあって、商品のアイデア力が参考になります。実際に本を見て『冷やし海老担々麺』が気になって食べに行ったのですが、当日は置いてなく、その日の限定メニューを頼んだところ、あまりにも美味しくて違うメニューをもう1品注文してしまいました。」

限定だけではない?冷やし麺は「お客にハマる定番の味」をどれだけ作れるかも大事

『冷やし中華専門店 ひやちゅう』はレギュラーメニューも個性的なものばかり!

実際に冷やし麺専門店としては、他のラーメン店とは違う悩みもあるようで、その独自のメニュー開発において、どのように役立つかも聞いてみました。

「冷やし麺は温かいラーメンとは違い、見た目と味がシンプルな傾向にあるので、飽きられないためにタレを工夫して、いかにたくさんお客の「ハマる味」を作れるかが勝負だと思っています。よって、その定番メニューのバリエーションも多いと助かるんです。

例えば、一度ハマる味を作り出すと、お客はずっと食べ続けてくれて、たまに限定メニューも食べてくれることもあるんです。『冷やし中華専門店 ひやちゅう』でいえば基本の「ブラックビネガー」が人気ではありますが、ピリ辛の「グリーンソース」にハマるお客さんもいて、何度もこれを食べに来てくれます。どれだけお客がハマるメニューを作れるのかも大事かな……と思っています。」

なるほど!冷やし麺はシンプルな商品であるが故に、定番の「ハマる」メニュー作りも模索する必要があるということですね。

新商品開発はラーメンの枠にはとどまらない!日本そば風味の冷やし中華が登場?

こちらは6月中旬までの期間限定発売の「オマール海老のビスクひやちゅう」

もちろん、限定メニューのアイデア出しは常に必要。三浦さんは、休みの時はさまざまなジャンルのお店を食べ歩き、麺というジャンルを限定せず、フレンチや居酒屋などのメニューも取り入れるといいます。

限定メニューの「オマール海老のビスクひやちゅう」もその一つで、オマール海老の頭を使用したビスクソースというフレンチの技法を応用したものです。オマール海老の爪部分がアクセントで、レモンバターのコクが出ていてあっさり風味!(2022年6月中旬まで販売予定)

「『人気の冷やし麺』もラーメンだけでなく、うどんやそば、冷麺、パスタなど、他ジャンルのメニューが掲載されていますが、実際に「冷やし中華」という枠を越えてメニューは開発していますよ。

今度発売予定の限定メニューは「日本そば」をイメージして、クルミ風味のタレとアボカドという異色の組み合わせにする予定です。これもラーメンだけに限定せず、あえて今までにないジャンルから取り入れたというアイデアです。」

新商品開発においてはさまざまな食のジャンルを応用することも大事なんですね。こちらの「日本そば風味の新作ひやちゅう」は6月から販売予定とのことで、今年の夏も『ひやちゅう』さんの限定メニューが楽しみですね!

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