福島餃子の特徴

昭和20年の終戦後、満州から引き上げてきた人達が生活のためにバラック店舗を建てて、稲荷神社境内や駅前空き地などに闇市ができたそう。闇市で多かったのは、飲食業。

福島で「満腹」を開業した菅野かつゑさんも飲食店を開業したひとり。約20年暮らした満州で覚えた餃子やおでんを販売されていました。そしてその中でも評判を呼んだのが円盤状に焼く餃子。菅野さんに習った人が独立して餃子店は増えていったそう。福島市には現在も親子2代に渡ってのファンがいる老舗餃子店が多数存在するばかりか、他の都市では見られない多様性のある餃子を各店舗に見出せます。

餃子を円盤状に焼くお店が多い

満州では旧正月に食べるのが水餃子だそう。その水餃子の中にお金を入れたり、筆の先を入れたりして、食べた餃子からお金が出てきたらその人の金運が良いなど、おみくじのような楽しみ方をします。ですので、旧正月にはたくさんの水餃子を作ったそうです。そしてその水餃子が残るとそれを鍋に並べて、焼いて無駄にしないように味わったのが焼き餃だと言われています。中華鍋に丸く並べて焼くので、焼き上がりが円盤状になるのです。

キャベツではなく白菜を入れる

「満腹」の餃子のあんは豚肉と白菜、少量のにんにく。白菜は粗くみじん切りに、オカラを絞る袋に入れて水分を絞ってから、1日置いてサラサラにします。これに豚肉と調味料を合わせます。こうすることで白菜に味がよくしみるそうです。夏は白菜の値段が上がりますが、満州で習った餃子は白菜だけの餃子なのでこの作り方を守っています。

宇都宮と福島餃子の違い

菅野さんの焼き餃子の評判は瞬く間に広り、その証拠に開業して1週間後には餃子専門店になっていたそうです。焼き餃子の評判が広まると、お客が増えるだけでなく「教えてほしい」という人も現れます。菅野さんに教わり、餃子店を開業して50年以上続いている餃子店が今もいくつかあるのです。各店がオリジナリティを出している点も興味深いです。こうした経緯から餃子店は福島に増えていきました。昭和30年代の高度成長期は、勤め帰りのサラリーマンの明日への活力源となり、餃子店は繁盛したといいます。そのため営業時間が夕方からの餃子店が多いのも福島市の特徴です。そのような理由から、宇都宮が「昼の餃子」であるのに対して、福島は「夜の餃子」と呼ばれることがあります。

参考資料:「餃子の探求」(旭屋出版)

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フードマニア編集部
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