うま味を逃さず白く煮上げる オオモンハタとオマールのフリカッセ【魚介の火入れ技術⑦】

フリカッセとは、素材に色をつけないように炒め、クリームで白く仕上げる煮込み料理です。東京・西荻窪にある「ビストロ サン ル スー」の金子淑光シェフが手がけるのは、オオモンハタとオマール海老のフリカッセ。炒めから煮込み、ソース作りまでをフライパンひとつで仕上げる、合理的で無駄のない技術を、ふれんちハンターが詳しく解説いたします。

■白身魚と甲殻類の組み合わせ

日本的にいえば「クリーム煮」にあたるフリカッセ。もっとも典型的なのは鶏肉のフリカッセですが、フランスでは魚介でもよく作られます。

魚の場合、白く仕上げるためにもっとも適しているのは上品な白身魚です。たとえばアンコウは最適な魚のひとつ。色をつけたくないので皮は引きます。逆に、背の青い魚やマグロ、イワシなど、身の色が濃い魚や個性が強すぎる魚は、生クリームとの相性からも不向きです。

金子シェフによれば、魚だけで作るよりも、甲殻類や貝類を組み合わせたほうが味が複雑になっておいしいといいます。今回はオオモンハタとオマール海老を組み合わせました。オオモンハタは熱帯から温帯域に広く生息する上品な白身の高級魚で、フリカッセにはうってつけの素材です。

■煮込みすぎない火入れ

作り方は、まず、フライパンを強火で熱し、オマール海老を断面から焼きます。表面の色が変わったら裏返し、オオモンハタを加えて色がつかないように炒めます。バターとエシャロットを炒め合わせたら、コニャックでフランベし、ノイリー酒を加えて煮ていきます。

煮込み料理といっても、火の入れすぎは厳禁。魚介は8割がた火が入ったところでいったん取り出すのがポイントです。2人前でコニャック50ml、ノイリー酒150mlとふんだんに用いることで、短い加熱時間でも十分な風味をまとわせることができます。

■うま味を無駄なくソースに取り込む

フリカッセの利点は、切り身を使って手頃な量で作れるうえ、炒めることから煮込み、ソース作りまでがフライパンひとつで完結し、うま味を無駄なくソースに取り込めることです。

魚介を取り出した後の煮汁は軽く煮詰め、野菜のブイヨン、生クリーム、ラングスティーヌのジュを順に加えてさらに煮詰めていきます。シノワで漉した煮汁に魚介を戻し、あらかじめソテーしておいた茸を合わせてさっと煮れば完成です。

仕上げに、煮汁に牛乳の泡を混ぜ合わせたソースをたっぷりかけます。ふわっとした軽さが加わり、見た目にも美しい一皿です。


【参考図書】

古典技法を追求!
フランス料理 魚介の火入れ技術


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■A4変・112ページ
■ISBN-13:9784751115381
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