焼き縮みしない火入れの答え アンコウのコンフィ【魚介の火入れ技術⑪】
コンフィといえば鴨のもも肉が定番ですが、植物油を使えば魚にも応用可能。東京・南青山にある「レストラン タニ」の谷利通シェフは、水分の多いアンコウをかたまりのままコンフィにし、しっとりとジューシーに仕上げます。谷シェフのコンフィ技術を、ふれんちハンターが解説いたします。

■低温でゆっくり、がしっとりへの最善手
水分の多いアンコウは、ローストやポワレにするとうま味と一緒に水分が一気に抜け、大きく焼き縮みしてしまうのが難しいところです。フランスでは身を薄切りにしてパン粉焼きにする調理法が一般的で、こちらは身が高温に直接ふれない点では優れています。しかし、身から出た水分でパン粉がすぐに湿り、カリカリ感が楽しめないのが難点です。
そこで、身の中に水分を最大限に残し、しっとり仕上げる最善の方法として谷シェフがたどり着いたのが、低温で火を入れられるコンフィでした。
鍋料理のアンコウはプリプリとした弾力が持ち味ですが、コンフィで引き出すしっとり感と凝縮したうま味は、フランス料理のテクニックならではの魅力。そこに谷シェフは大きな価値を見出しているといいます。
■脱水とベーコンで味を凝縮
日本産のアンコウはフランスで獲れるものより大型のため、かたまり調理に適しています。谷シェフは北海道産を頭と内臓抜き、皮付きで仕入れ、10人前700gの大ぶりな筒型に整えて使います。
ジューシーに仕上げるとはいえ、うま味を凝縮するには適度な水抜きが不可欠。そのため、下ごしらえとしてソミュールに1時間つけて塩味を浸透させた後、脱水シートで包んで一晩水抜きしておきます。

脱水した身は、生ベーコンの薄切りでロール状に巻きます。アンコウの淡泊さを補い、塩分を加える役割です。太いソーセージのような形にまとめたらラップできっちり包み、冷蔵します。


■置いておくだけで完璧な火入れが可能
注文が入ったら人数分を切り出し、たこ糸で巻いて形を固定します。銅鍋にオリーブオイル、にんにく、ローリエ、タイムを入れ、65〜70℃に温めた中へ。中心温度が60℃に達するまでじっくり加熱します。
加熱時間は40分から60分と長くかかりますが、低温を保つだけなので、コンロの端に置いておけばそれほど気を遣わずに完璧な火入れができるのもコンフィの長所です。


ソースには春菊を使い、ベースにはジュ・ド・コキヤージュを合わせました。アンコウのだしで作るとソースがもったりとしてしまうため、貝のだしで軽やかに仕上げています。

【参考図書】
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繊細な技術である「魚介類の火入れ」に焦点を当て、フランス料理の基本となるポワレ、 ■A4変・112ページ |
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